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親子間コミュニケーションで、資産承継を成功に導きませんか? 子世代が「困る相続」「喜ぶ相続」【第2回】

子世代が「困る相続」が生じる3つの原因とは?

子世代が「困る相続」はなぜ起きてしまうのか。その根本的な原因は以下の3つです。

原因❶ 相続に対する親世代の準備不足

1つ目が「相続に対する親世代の準備不足」です。ご存じのように、相続発生から相続税の申告・納税までの期限は10ヵ月しかありません。資産、特に不動産を複数所有している場合は、多くの手続きが必要です(相続発生後に必要な手続きについてはこちらからご確認ください)。

そのため、前回のCase01のように、子どもが所有不動産の詳細を知らなかった場合、子世代は資産に関する情報収集に奔走しなければなりません。相続発生前に資産の棚卸しを実施し、親子間で全容を共有していたらこのような事態は防げたでしょう。

また、親世代が納税対策や分割対策などの適切な相続対策をしていなかったり、前回のCase0305のように境界確定や権利の整理など子世代に引き継ぐにあたってするべきことを済ませていなかったりすると将来の活用に支障をきたします。

このような事態にならないためには、スムーズにバトンタッチできるよう必要な情報を整理して子世代に伝えておくこと、そして親世代で済ませられることは済ませておくことの2つが非常に重要なのです。

原因❷ 親子の想いのすれ違い

子世代が「困る相続」が起こる原因の2つ目は「親子の想いのすれ違い」です。前回のCase04では、親世代は子世代に使ってほしいという想いからリゾートマンションを相続したものの、子世代は利用したいとは思っておらず、逆に維持・管理にかかる手間やコストを負担に感じています。

また、同じく前回のCase02のように、不動産経営専業だった親世代は深い愛着をもって物件を自主管理してきたけれど、子世代は親世代ほどの思い入れはなく、また会社勤めのため管理にあまり時間をかけられないといったケースも往々にしてあります。参考までに、図表3に一棟収益物件の賃貸管理に関わる主な業務内容を掲載しましたので、ご確認いただければと思います。

こうした親子の想いのすれ違いも子世代が「困る相続」を生み出す要因となります。そうならないためにも、親世代と子世代では想いやライフスタイルが異なるということを押えたうえで、相続方針や不動産について話し合う機会を設けましょう。

原因❸ 親世代の「問題の先送り」

子世代が「困る相続」が起こる原因の3つ目は「問題の先送り」です。不動産経営におけるさまざまな懸念点に対して、親世代の中には過去の経験から「昔は大丈夫だったから今も大丈夫に違いない」「まだ先で大丈夫だろう」といった感覚がある方も少なくありません。しかし、親世代の「大丈夫」が子世代に問題を先送りし、結果的に子世代に多大な負担を強いることになるかもしれません。

例えば前回のCase03のように、以前は確定測量なしでも分筆ができ、相続や売却に支障が生じないことも多くありましたが、2005年以降は境界が確定していないとそれらが難しくなるなど、法律は時代とともに厳格化されていくのが一般的です。そのため、親世代では「大丈夫だった」ことが、今の時代では「大丈夫ではない」ことになっている可能性が大いにあるのです。

また、少し老朽化が進んできた不動産を子世代に引き継ぐ際、親世代は「修繕はまだ先で大丈夫だろう」と考えがちですが、不動産経営の経験が浅い子世代は「自分が大掛かりな修繕をしなければならないのか」と負担を感じるケースもあるでしょう。

このように子世代が困らないようにするには、親世代は「今までは大丈夫だったけれど、今後は大丈夫だろうか?」「まだ先で大丈夫だと思っていたけれど、本当にこのままで大丈夫だろうか?」と改めて考えてみることが大切です。

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