「困る相続」を「喜ぶ相続」に変える3ステップ
子世代が「困る相続」を「喜ぶ相続」に変えるステップは図表5の通りです。

STEP1では、不動産の情報と現状、想いを親子で共有します。その際は、前回ご紹介した「子世代が困りやすい不動産の3要素」(❶手間がかかる、❷収益性が低い、❸権利関係が複雑)に該当する不動産の有無を確認しましょう。また、想いを共有する際は、親世代と子世代ではライフスタイルや価値観が異なるということを踏まえ、相手の想いを理解することを心がけましょう。
STEP1を実践することで、例えば所有している不動産を子世代が把握できていない、親子の想いにギャップがあるなどさまざまな問題が浮かび上がってくるでしょう。そうした問題を確認することがSTEP2です。最後のSTEP3では、問題を解消し、親世代も子世代も「喜ぶ相続」を実現するための対策を講じていきます。
共有シートを活用しながら、STEP1・2にトライ!
上記のSTEP1・2を親子で実践していただくために、「不動産の情報と現状、想い」共有シートをご用意しました。この共有シートを活用し、親子で実際に話し合ってみましょう。シートの使い方は下記の通りです。
①まず所有不動産の情報を整理します。不動産の所在地や面積などの基本情報のほか、収益性や借入金、修繕計画や積立金の有無などを書き出します。権利証(登記識別情報通知)や各種契約書など、相続税の申告や不動産経営を引き継ぐための書類が揃っているかどうかも確認しておくと安心です。
②次に、不動産の現状について整理します。親世代は、管理手間や老朽化について感じている課題の有無、対人関係で注意が必要な不動産の有無などを確認していきます。権利が複雑、収益性が低いなどの問題も含め、子世代が「困る相続」になりかねない不動産の有無をしっかり点検していきましょう。一方の子世代は、親が所有する不動産について把握しているか、不動産の管理にどのくらいの時間をかけられるか、そもそも不動産経営に興味・関心・知識があるのか否かについて整理していきましょう。
③そして、親子の想いを共有していきます。親世代が行いたいのは、売却したくない不動産や売却してもよい不動産、今後活用を考えている不動産などの判別です。また、誰にどの不動産を承継するかなどについても考えを整理してみましょう。子世代は、不動産を承継したいか否かから考えてみてください。承継する意思があるならば、承継したい不動産や承継したくない不動産を検討するとともに、承継するにあたって不安なことを書き出していきましょう。以上でSTEP1は完了です。
次のSTEP2では、STEP1の結果を踏まえ、「困る相続」になりかねない問題がないか親子で確認していきましょう。6つの中から、当てはまる項目にチェックを入れてください。
