Pickup Archive

建物規模最大化だけではない“かしこい選択肢”「価値」を引き出す新築・建て替え検討術【第2回】

情報誌レッツプラザ2023年Summer号より引用

前回は、建物経営においては建物規模を最大にして収益を上げるだけでなく、利回りや手残り金額、自身のライフスタイルや周辺環境への影響、さらに相続対策や引き継ぐ方の気持ちなどの観点から総合的に検討したうえで建物の規模を考えることが大切であるとご紹介しました。では、建物規模最大化以外の有効な活用法にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、土地の「価値」を引き出すとともに、自身の考え方や希望に合わせた5つの活用法をご紹介します。

Case03 防火地域・準防火地域にある土地

階数や面積の設定により耐火構造の不要な規模に

都市の安全、特に火災から人びとの生命や財産を守るため、都市計画によって「防火地域」と「準防火地域」に指定されている地域があります。

防火地域は建物の密集度が高い商業地域や幹線道路沿いなどを中心に定められ、火災被害を広げないための特に厳しい建築制限があります。一方、準防火地域は工業地域のほか住宅地域も含めて広範に指定されるケースが多く、火災を防止するために比較的厳しい建築制限があります。

防火地域・準防火地域で建物を建築する際、それぞれ一定規模以上のものは「耐火建築物」にする必要があります。一定規模とは、図表5にあるように、防火地域では3階建て以上または延床面積
100㎡超、準防火地域では4階建て以上または延床面積1,500㎡超です。

耐火建築物は、防火窓・防火ドアや不燃材料など、防火設備・部材の費用が必要になります。また、建物自体の重量が増すため、地盤や基礎の補強が必要となり、建築費用が割高になる傾向にあります。耐火建築物になるかならないかが、収益性に大きく影響するポイントの1つです。特に賃貸住宅を検討するとき、建築費を抑えるために建物規模を耐火建築物としなくてよい水準にとどめるかどうかが1つの重要な判断要素となります。

しかし、耐火建築物とすべきかどうかの水準を大幅に超える建物規模をもともと想定しているのであれば、このようなことは一切考えず、耐火建築物にかかるコストを前提とした事業収支を検討するべきでしょう。「防火地域であれば2階建て以下かつ延床面積100㎡以下」「準防火地域であれば3階建て以下かつ1500㎡以下」。建築する建物規模を考える際は、この水準を念頭に置いてください。

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