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キーワードは「Afterコロナ」「脱炭素」「地域貢献」“時流”をつかむ資産経営 【第2回】

今回のキーワードは「脱炭素」です。政府の「2050年カーボンニュートラル」宣言を受け、不動産業界でも脱炭素化を目指す取り組みが加速しています。つまり、不動産業界においても“環境にやさしい”ことが付加価値となる時代が到来しつつあるのです。今回は、脱炭素化を実現するための手法として注目されている「リファイニング建築®」と「木造建築」についてご紹介します。

記事作成日:2022年2月8日
記事公開日:2023年4月17日
記事改訂日:2023年4月17日

【リファイニング建築】 老朽化した建物を再生し、脱炭素化とコスト削減を実現

老朽化した建物を再生・長寿命化すると同時に、CO2排出量削減も実現する手法として注目を集めているのが「リファイニング建築」です。

リファイニング建築とは、建築家・青木茂氏が提唱する再生建築手法。既存建物を一度スケルトンにし、躯体の軽量化や補強によって耐震性能を現行の耐震レベルに向上させるとともに、既存躯体の約80%を再利用しながら大胆な意匠転換や設備一新を行うことで建物の再生・長寿命化を図る手法です(図表2)。

図表2 リファイニング建築の工程

建物にかかる単体規定を現行法規に適合させて竣工時に検査済証の交付を受けるため、建築法規上も新築同等の建物に再生できます。また、既存躯体の活用により、建て替えと比較すると建築費用は7割程度に抑えられ、工期も大幅に短縮できます。

さらに、東京大学と三井不動産との共同研究において、既存躯体を再利用するリファイニング建築は、建て替えと比べ建築時のCO2排出量を約72%も削減できることが明らかになっています
(詳細情報はこちらをご参照ください。https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/0922/)。

脱炭素化の取り組みと聞くと太陽光パネルの設置などコストの増加が懸念されますが、リファイニング建築は脱炭素化とコスト削減の両立を実現します。また、建築当時からの建築法規等の改正により、建て替えると建物規模が小さくなるケースがありますが、リファイニング建築は建築基準法の緩和措置があるため、現状規模の維持が可能です。

さらに、築年数が経過した不動産は長期借り入れが困難ですが、リファイニング建築を実施し検査済証を取得することで新築同様の長期借り入れがしやすくなります。こうした多くのメリットがあるリファイニング建築は、脱炭素社会の実現に向けてさらに注目されるでしょう。

【リファイニングについてより詳しく知りたい方は、以下のリンクをご確認ください】
https://lets.mitsuifudosan.co.jp/anti_aging/refining

【木造建築】 高まる環境への配慮と、見直される木造建築の優位性

脱炭素社会の実現に向けて政府がさまざまな施策を展開する中、建設業界では新築時や解体時のCO2排出量が鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物に比べて少なく、解体後はリサイクルも可能な木造建築を推進する動きが加速しています。

実際、近年は3階建て以上の大規模施設にも「木」が活用されるようになってきています。従来木造建築は火災や地震に弱いというイメージがありましたが、現在では木造建材の性能が格段に向上し、鉄筋コンクリート造・鉄骨造と同等レベルの耐火性、耐震性が確保できるようになり、技術的にも大規模木造建築の実現が可能となったのです。

こうした中、三井不動産グループの一員である三井ホームでは国土交通省の先導事業である「木でつくるマンションプロジェクト」を推進しており、2021年11月には第1号物件「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」が竣工を迎えました。

5階建て(1階鉄筋コンクリート造、2~5階木造)・総戸数51戸
5階建て(1階鉄筋コンクリート造、2~5階木造)・総戸数51戸

木造賃貸住宅は従来、アパート表示しかできませんでしたが、MOCXIONはマンション表記ができることが大きな特徴です。これにより、検討いただける入居者の幅が大きく広がります。また、通常の木造建築は法定耐用年数である22年間での減価償却となりますが、MOCXIONでは鉄筋コンクリート造と同じ47年間の減価償却を選択できる場合もあります※。

鉄筋コンクリート造・鉄骨造に比べた木造建築の優位性としては、主に以下の3点があげられます(図表3)。
①木材は断熱性が高く調湿作用もあるため、暖かく快適な環境を提供できる。
②高断熱のため、冷暖房費を低減できることに加え、固定資産税・都市計画税も安く、ランニングコストを低減できる。
③解体する際の手間が少ないため、将来的な解体費用を低減できる。

このような優位性に加え、前述のように環境にもやさしい木造建築。SDGsや脱炭素化へ向けた取り組みが必要になる社会において、木造建築への期待や注目度はより高まってくるでしょう。

図表3 木造建築の主なメリット

※ 不動産の性能などについて第三者調査をまとめた報告書を作成し、監査法人の審査を受ける必要があります。
「MOCXION INAGI」では、三井ホームが依頼している監査法人の審査を受けています。

◆     ◆     ◆

次回は、3つ目のキーワードである「地域貢献」について、賃貸住宅市場のトレンドや有効と考えられる資産経営戦略などをご紹介します。お楽しみに!

(第3回に続く)

 

【2021年11月に三井ホームの木造大規模賃貸マンション第1号物件「MOCXION INAGI」が竣工! MOCXIONについてより詳しく知りたい方は以下のリンクをご確認ください】
https://www.mitsuihome.co.jp/property/mocxion/
https://www.mitsuihome.co.jp/mhw/mocxion/
https://chintai.mhe.co.jp/mhe_mocxioninagi/

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