高齢者施設などは、補助金が給付される場合も
地域貢献型施設のプランとしては、主に保育園などの文教系、病院・クリニックなどの医療系、高齢者施設などの介護・福祉系などがあげられます。
中でも介護に関しては、要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることができるよう、地域内で助け合う地域包括ケアシステムの構築を国が推進しており、中学校区を単位としておおむね自宅から30分以内に医療・介護・生活支援などのサービスが提供される地域づくりを目指しています。
介護施設としては、認知症グループホームや小規模多機能型居宅介護を拡充する方針で、行政が不動産オーナーの方々に協力を呼びかけてきました。しかし、進捗が遅れているため、整備が急務な地域では建設工事費への助成金を給付するケースも出てきています。
また、待機児童問題の解消を目指し、保育園の設立においても補助金が給付される場合があります。つまり、高齢者施設や保育園などは行政から補助金が給付される可能性が高く、オーナー様にとっては初期費用を抑えられるメリットがあるということです。
地域貢献型施設のメリットと留意点とは?
地域貢献型施設は、竣工後の事業性においてもメリットがあります。高齢者施設や保育園などは、オーナー様が所有地に建物を建設し、事業者に賃貸する手法が一般的です。賃貸住宅とは異なり、運営開始後の建物の修繕・保守は基本的に事業者が対応するため、オーナー様の手間やコストを軽減できます。
また、20~30年といった長期契約による一括貸しが基本で、賃料を見直す頻度も賃貸住宅に比べて少なく、10年に一度という事例も多くみられます。さらに、賃貸住宅は入居者が退去するたびに再募集や原状回復工事などが必要となりますが、地域貢献型施設は事業者の退居リスクが少なく、長期安定経営が見込めます。
一方、留意点としては、専用の間取りと設備を備えた建物となるため、ほかの用途に変更しにくい、また利用者保護のため事業を短期間で終了することが難しいことなどがあげられます。現に厚生労働省も介護サービス事業者に対し、長期的な展望に基づいた事業収支計画を作成するよう求めています。そのため、長期間活用しない土地を所有しており、30年程度は継続する前提で取り組むオーナー様に適した事業といえるでしょう。
不動産活用では、賃貸住宅のように新築時の賃料が高い事業と、高齢者施設のように賃料は比較的安価でも長期間にわたり安定的に収益が見込める事業を組み合わせたポートフォリオを構築することで、リスク分散を図ることが重要です。所有物件が賃貸住宅のみのオーナー様は、地域貢献型施設を新たな選択肢としてご検討してみてはいかがでしょうか。
【地域貢献型施設の実例については以下のリンクをご確認ください】
https://lets.mitsuifudosan.co.jp/case/project02
幅広い情報とネットワークを有するパートナーを選ぶ
地域貢献型施設を検討する際は、所有地の立地や特性、エリアにおけるニーズ、周辺事例など、多様な情報を収集・分析するのに加え、実際に施設を運営する事業者とのマッチングも重要となります。そのため、事業者のリサーチや選定も含め、幅広い情報とネットワークを持ったパートナーを選ぶことが成功のカギといえます。
また、前回の本コラムでもご紹介したように、木造建築の優位性が認識される中、こうした医療系、介護・福祉系の施設においても木造を採用するケースが増えています。近年の木造建築は断熱性能が高いため、冬は暖かく夏は涼しい快適な環境を実現できます。また、木造の床は適度な弾力性があるため足腰への負担が少なく、転倒した際にも大けがにつながりにくいといった特長もあります。快適で、人にやさしい木造建築は、医療系や介護・福祉系、保育園に大変適しているのです。
超高齢社会の日本において、介護・福祉系施設のニーズは今後ますます高まると考えられ、また保育園の確保も重要な課題です。不動産活用を通じてそうした課題解決や地域貢献に取り組みたいというオーナー様はぜひレッツにお問い合わせください。
◆ ◆ ◆
賃貸住宅市場のトレンドとそれを見据えた資産経営戦略について、3回にわたってご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか? 本サイトではこれからもオーナー様の資産経営に役立つさまざまな情報を発信してまいります。
なお、本コラムは三井不動産グループの資産経営情報誌「Let’s Plaza 2022年2月号」に掲載した記事を修正、改題したものです。「Let’s Plaza」(年3回発行)では資産経営に関する旬な話題や詳細な事例などを豊富に掲載しておりますので、ぜひ最新号よりご購読ください。