知っておきたい不動産の話

知らないと必ず後悔する、土地の売り方

不動産を売却する際に、誤った売却方法を採ると、残る大切な資産を大きく損ねる可能性があります。単純に「高く売れたから良かった」では、後で悔やむことになるかもしれません。今回は、不動産の売却方法について、わかりやすい間違いの例をご紹介します。

中高層地域の土地を売る

この土地は200坪あって南北両側が比較的広い通りに面しているとしましょう。このうち100坪を売却することを考えた場合、どう売ったら高く売れて、残った土地の価値を損なうことがないかを考えます。中高層住居地域など比較的高い建物が建てられる地域の土地価格の判断基準は収益還元という考え方によります。要するに、「そこにどれだけの大きさの建物が建てられて、いくらで貸せるか?」ということです。建築法規上、北側に比較的広い道路がある土地は高い建物が建てやすいとされています。なぜなら北側の隣接地に日影を生じさせる度合いが低いからです。従って北側に面した100坪を売却したほうが高く売れるということになりますが、それでは残った土地の価値を下げることになってしまいます。 売却する半分が高く売れて、残った半分の価値が保たれる売却方法はこちらです。

左の図のようにそれぞれが北側道路に面するように分割して売却することで、いずれの土地も高い建物が建てやすく賃料が稼げる利用価値が高い土地ということになるのです。

また、建物付の土地を売却する場合には、建物があることがプラスに働く場合もあれば、逆に価値を下げてしまう場合もありますから注意が必要です。古いアパートなどは収益還元による価格よりも取り壊して更地にしたほうが高く売れるケースが少なくありません。 このように、不動産を売却する場合には適切な価値で売るための売却方法があります。誤った売却方法を選択すると、ご自身の資産を守ることはできません。しかしながら土地は個別性が強いので個々に判断する必要があります。また売却の仕方によって譲渡税にも差が出ますから、税制面にも充分な注意が必要です。事前に頼りになるプロのアドバイスを受けることをお勧めします。

※本記事は2016年1月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

関西支店 ソリューション営業部長

三井不動産リアルティ株式会社

神宮 保彦

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