【第2部】解決のカギは意思疎通! 底・借問題の解決策とは

株式会社イデアルコンサルティング 代表取締役
立花弘之氏
トラブルを防ぐには、定期的な地代の見直しが重要
底地や借地における貸主と借主のパワーバランスは、時代とともに変化してきました。1909年以前は貸主優位でしたが、1921年の借地法制定や第2次世界大戦などを経て借主優位へと変化し、現在は均衡へと向かってはいるものの、依然として借主優位の状況です。
こうした中、近年特に増えているのが地代に関わるトラブルです。平成28年の固定資産税の大幅引上げや、コロナ後の令和4年以後3年続けて税金が上がっていることを借主が認識していなかったり、それを貸主も説明しないことがトラブルの主な原因だと思います。
こうしたトラブルを防ぐためには、定期的な地代の見直しが重要となります。双方合意のうえで、3年に一度は地代改定の場を設けるようにするとよいでしょう。
大切なのは、日頃から円満な関係を築いておくこと
底地や借地の整理をめぐって起こるトラブルはさまざまですが、特に留意しておきたいのは相続が関わる問題です(図表2)。

貸主に相続が発生すると「建て替えや借地権譲渡の承諾に応じてもらえない」「銀行からの借り入れができない」「底地の買い取りを求められる」など、借主側のリスクが高まります。借主がこうしたリスクを低減するためには、「借地権範囲を確認しておく」「将来の意向を貸主に伝えておく」「次世代を引継ぐ者が挨拶をしておく」等を通じて、有効な関係性を築いておくことが重要です。
一方で、借主の相続発生時には、地代支払いの停滞や、借地権者の不確定、借地権が競売にかけられるなど、貸主側のリスクが高まります。貸主側の防衛策としては、定期的な建物登記の確認や、借地人の家族構成・決定権者の把握などが挙げられます。先代から相続した土地であれば、先代とよく話をして借地人との過去のやり取りや申し受け事項を確認しておくことも大切です。
貸主・借主ともに重要なことは、日頃から権利関係者とコミュニケーションをとり、相手の状況や考え方を知っておくこと。円満な関係を築いておけば、いざというときも安心です。専門家の力も上手に活用しつつ、底借整理の具体的な方針を決めることをお勧めします。