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大切な資産を“増やして”次世代につなぐために……「目的」から見つける不動産投資の最適解【第3回】

情報誌レッツプラザ2024年Spring号より引用

これまでの連載では、不動産投資を始める前にやっておくべきことやそのポイントについて見てきました。最終回の今回は、いよいよご自身の目的に最適な収益不動産を探していきましょう。収益不動産の種類、それぞれの特徴と留意点、どのような方に適しているかなどについて解説します。

収益不動産は「系統」と「所有形態」で分類できる

不動産投資の対象となる収益不動産は、大まかに「系統」と「所有形態」の組み合わせにより分類ができます。「系統」は、マンション等の「住宅系」と店舗・オフィス等の「事業系」の2系統に大きく分かれます。

一方の「所有形態」には、マンションやオフィスビルの土地・建物を丸ごと購入し賃貸する「1棟所有」と、マンションの住戸やオフィスビルのフロア単位で購入し賃貸する「区分所有」があります。この「系統」や「所有形態」の違いによって、個別の収益不動産の大まかなメリット・デメリットがわかるため、まずはその特徴を押さえましょう。

「住宅系」は「事業系」よりも賃料のボラティリティが低く安定的

初めに「系統」別の特徴です。マンション・アパートなどの「住宅系」と比較すると、店舗・オフィス等の「事業系」は1テナントあたりの床面積が大きくなる傾向があるため、空室が生じた場合の影響が大きくなります。また、「住宅系」は生活に不可欠なため、急な需要低下が起こりにくいのに対し、「事業系」は景気変動の影響を受けやすく、景気後退などでテナントが退居すると次の賃借人が長期間決まらない場合があります。以上から、「住宅系」は「事業系」よりも賃料のボラティリティ(価格変動率)が低く安定した商品だと言えるでしょう。

一方、「事業系」は、「住宅系」よりも坪あたりの賃料単価が高い傾向にあるため、一般的に高い賃料を期待できるというメリットがあります。そのため、「事業系」は「住宅系」よりもリスクは高いがリターンも大きい投資と言えるでしょう。

「区分所有」は「1棟所有」に比べ管理負担は少ないが、空室リスクは大きい

次に、「所有形態」別の特徴です。「1棟所有」の場合、建物全体の維持管理を自ら行わなければならず、将来的には大規模修繕などの検討も必要なため負担が大きいと言えます。

「区分所有」は、自らが維持管理するのは専有部分のみで、共用部は管理組合が主体となって管理を行うため、管理上の負担が比較的少ないと考えられます。一方、「区分所有」の場合は、所有している物件数が少ないと空室の事業への影響が大きくなり、経営が安定しにくいという留意点があります。

「住宅系」で押さえておきたい2つの収益不動産

「系統」「所有形態」別の特徴をつかんだところで、図表7にまとめた主な投資用不動産について、それぞれの特徴を見てみましょう。まずは「住宅系」です。

土地・建物全体を所有する「1棟マンション・アパート」

1棟のマンションやアパートの土地・建物全体を購入して賃貸する方法です。賃料の変動率が低い「住宅系」で、かつ複数の住戸がある「1棟所有」のため、安定的な収益を見込めることが特徴です。また、帳簿上減価償却されない「土地」を所有していることや安定稼働を期待できることから、区分マンションよりも金融機関の融資を受けやすいというメリットもあります。

一方、留意点は建物全体の維持管理に加え、大規模修繕や建て替えの検討など負担が大きいことです。安定的な投資を行いたい方、金融機関の融資を活用して大きな額の投資をしたい方、不動産投資経験を有し維持管理を適切に行える方などに適した物件と言えるでしょう。

1棟所有に比べ、少ない投資額で始められる「区分マンション」

マンションの1戸、あるいは複数戸を購入し賃貸する方法です。特徴としては、1棟マンションよりも投資金額を低く抑えられる、維持管理は住戸の専有部分のみでよいため管理上の負担が少ない、1棟マンションに比べ買い手が多いため売却がしやすいなどが挙げられます。また、区分マンションは土地持ち分が少ないため、相続税評価額が低くなる傾向があります。さらに、相続の分割対策として、相続人の人数分の住戸を買い1戸ずつ相続させることが可能です。

一方、所有数が少ないと空室による影響が大きくなる点には留意が必要です。空室リスクを低減したい場合は、エリアなどを分散させながら複数の区分マンションを購入する、管理会社の空室保証プランを利用するなどの対策を行うのがよいでしょう。不動産投資が初めての方、維持管理に手間をかけたくない方、相続対策を行いたい方などにお勧めの物件です。

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