定番から新規まで、「事業系」の6つの選択肢
次に、「事業系」を見ていきましょう。
「住宅系」よりも高い利回りが期待できる「1棟ビル」
オフィスビル等の土地・建物全体を購入し賃貸する方法です。特徴は、「事業系」であるため「住宅系」よりも坪単価が高い傾向がある一方、賃料変動率は高くなり、空室による事業への影響も大きくなります。しかし、1棟所有であること、また長期賃貸借契約を結ぶ事業者も多いことから「事業系」の中では比較的空室リスクが低いと考えられます。
「1棟所有」なので維持管理に時間やコストがかかりますが、内装工事の一部や退去時の原状回復がテナントの負担となる契約形態であればオーナーの負担は軽くなります。安定性よりも大きな利益を追求したい方、不動産投資の経験が豊富な方、などに適していると言えるでしょう。
1棟ビルよりも少ない投資額で始められる「区分オフィス」
近年新たに登場した商品で、オフィスビルの1フロアあるいは複数フロアを購入し賃貸します。主な特徴は1棟ビルと同様ですが、1棟ビルよりも少ない投資額で始められるという特徴があります。
留意点としては、「区分所有」であるため、空室が事業に与える影響が大きいことに加え、歴史が浅くデータが少ないため、実績や動向がわかりにくいという問題もあります。すでに不動産投資を行っていて分散投資として異なる種類の不動産を所有したい方、自社オフィスとしての活用も視野に入れている方などに適しているのではないでしょうか。
自身でも利用でき、収益物件としても活用できる「ホテルコンドミニアム」
ホテルの一室を購入し、自身が利用するとともに、利用しない期間は運営会社に委託しホテルの客室として賃貸する方法です。基本的には運営会社が専有部分の修繕なども行うため、維持管理の手間がかかりません。また、ホテルコンドミニアムが立地するリゾート地は土地よりも建物の評価額が高くなる傾向があるため、減価償却費を多く計上できる、相続税評価額が低くなるなどの効果が期待できます。
一方、留意点としては自身でも利用するため利回りは低くなります。また、景気変動やエリアの人気の影響を受けやすい、トップシーズンとオフシーズンの稼働率が異なるなどの理由から収益には波があるので、年間稼働で判断したほうがよいでしょう。別荘購入を検討中で、自身が使わない期間は賃貸することで維持管理費等を賄いたい、収益を得られたらなおよいとお考えの方に適していると言えます。
「スケルトン引き渡し」で投資額を抑えられる「店舗」
店舗を土地・建物ごと購入し、事業者に賃貸する方法です。事業者に賃貸する際は、建物に内装を施さず、躯体が剥き出しの状態で貸し出す、いわゆる「スケルトン引き渡し」が可能なので投資額を抑えることができます。賃貸中の修繕費も事業者が負担するため維持管理にかかる費用も軽減可能です。また、事業者との契約を定期借家契約にすることで、期間満了後に新たな建物を建てて活用することもできます。
留意点としては、基本的に1棟の建物を1つの事業者に貸すため、退去すると収益がゼロになる、特定の事業者に特化した店舗仕様の場合は他事業者が入居しづらいなどが挙げられます。分散投資として異なる種類の不動産を所有したい方、あるいは定期借家契約満了後の活用プランがある方などに適していると言えます。
土地を購入して、そこに収益物件を建築する「事業用地の購入と建築」
事業用地を購入し、そこに賃貸マンションや店舗などの建物を建築し賃貸する方法です。土地を購入したうえでさらに建物を建築すると、建築費が高いため利回りが確保しにくくなります。一方、すでに所有している土地に建物を建築し賃貸するのは、安定的な収益確保や相続対策等の観点から非常に有効です。
少額から投資でき、税メリットが期待できる商品もある「小口化商品」
1棟ビルなどを一口100万円などに小口化して販売し、賃料収入や売却益を投資額に応じて出資者に分配する商品です。比較的少額から投資ができ、また不動産投資信託(REIT)と異なり不動産所有権とみなされる権利形態の商品もあり、それらの場合は相続対策など税メリットが期待できます。ただし、中途解約ができない商品もあるため注意が必要です。少額でミドルリスク・ミドルリターンの投資を行いたい方に向いていると考えられる商品です。