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大切な資産を“増やして”次世代につなぐために……「目的」から見つける不動産投資の最適解【第2回】

情報誌レッツプラザ2024年Spring号より引用

前回は、不動産投資のメリットとデメリットについてご紹介しました。では、そうしたことを踏まえたうえで、資産形成に向けて投資を始めたいと考えたら、何から着手したらよいのでしょう。今回は、不動産投資を始める前にやるべきこととポイントについて見ていきましょう。

不動産投資を始める前にやるべきこと❶ 「目的」を明確にする

不動産投資を始める前にやるべきことが2つあります。1つ目は、不動産投資の「目的」を明確にすること。目的によって選ぶべき物件が変わってくるため、ご自身の目的を明確にすることからスタートしましょう。不動産投資の主な目的としては、以下の3つが考えられます。


不動産投資の主な目的は3つ。物件選びのポイントは?

❶物件の運用による賃料収入(インカムゲイン)

不動産投資は主に購入した物件を長期間運用して毎月安定的な賃料収入(インカムゲイン)を得ることが目的となります。その際には、ご自身の希望に見合った利回り(純利回りは「年間収益(年間賃料収入‐年間支出)÷物件購入価格×100(%)」で算出。年間収益が多く、物件購入価格が安価であれば純利回りは高くなる)の物件を選ぶことが基本です。

また、すでに賃貸中の物件(オーナーチェンジ物件)であれば、賃料が当該エリアの相場と比べ妥当もしくは割安な物件を選びましょう。入居者入れ替え時などに賃料を値上げできる可能性があります。逆に、相場より割高な賃料の物件は、短期的には収入が高く魅力的に見えますが、将来の入居者の入れ替え時などに値下げが発生することも考えられるため注意が必要です。

❷物件の価格上昇による売却差益(キャピタルゲイン)

不動産投資には、将来の売却を見据えた観点も重要です。将来の売却価格が落ちにくそうな物件を選定しましょう。投資家の中には不動産を購入価格以上で売却し、売却差益(キャピタルゲイン)を得たいと考える方もいらっしゃいます。しかし、不動産価格は上昇するばかりとは限らず、逆に下落する危険性もあるため、キャピタルゲインの獲得のみを重視するのはお勧めできません。

また、時価が上がったため購入後すぐに売却したい場合もあるかと思いますが、その際は譲渡所得税に注意が必要です。5年以上保有した不動産を売却した場合の譲渡所得税率は一般的に売却益の約2割ですが、5年未満で売却した場合は約4割と、約2倍の税率が課せられます。

以上のことから、不動産投資はあくまでインカムゲインを重視した長期保有が大前提と認識し、キャピタルゲインを狙いたい場合もサブ目的として捉え、マーケットなどを参考にしながら市場評価の上昇が期待できる不動産を見定めるのがよいでしょう。

❸相続対策をしたい

近年、不動産投資を行う理由として、相続対策を挙げられる方が多くいらっしゃいます。例えば、相続時の「分割対策」には、自宅を複数戸の区分マンションに組み換え、自身で使用しない分は賃貸して収益を得つつ、将来は子どもたちに1戸ずつ相続させるなどが有効です。また、評価額が高い株や現預金を不動産に組み換えることで「財産評価対策」も可能です。

❸を主目的とする方は、高利回りでなくとも安定的にインカムゲインを確保でき、次世代が相続した後も売却価格を高く維持できると考えられる物件、言い換えれば次世代が受け取って喜ぶ物件を選ぶのがよいでしょう。

これらのうち、❶のみを目的に定める方もいれば、❷❸も視野に入れるという方もいらっしゃるでしょう。まずはご自身の目的を見定めましょう。

不動産投資を始める前にやるべきこと❷ 不動産マーケットのチェック

不動産投資を始める前にやるべきことの2つ目は、不動産マーケットのチェックです。特にチェックしたいのは、売買価格や利回りなどに深く関係する「新築・中古マンションの平均売買価格(単価)の推移」と「賃料推移」です。

平均売買価格と賃料推移のチェックは必須!

図表2が新築、図表3が中古マンションの平均売買価格(単価)の推移です。これらを見ることで、過去と比べ現在の不動産マーケットが活況か否かがわかります。なお、市場に流通しているマンションは立地や仕様、築年数など条件が千差万別で、図表2はそれらの物件を幅広に抽出していますが、マーケットをより正確に把握するには図表3のように一定水準以上のクオリティのマンションなど条件が揃った物件の取引動向を確認しましょう。そうすることで、その条件下の物件(今回は首都圏の高額マンション)を売買する際の相場などをつかめます。

一方、首都圏の中古高額マンションの賃料推移を示したのが図表4です。実際に購入を検討する際は希望エリアのより詳細なグラフを見ることで、賃料収入の見込みはもちろん、今後検討する物件の賃料がそのエリアの相場と比べ割高か割安かの判断にも役立ちます。また、物件の購入価格と賃料は利回りに直結するほか、物件の賃料が上がればその物件に対する投資家の評価が高まり、結果的に売却価格も上昇するなど、物件の賃料と価格は密接に関連しています。

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