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「現在の資産経営」「将来の相続対策」、どちらにも効く! 「資産の棚卸し」入門【第2回】

前回は、「資産経営」「相続対策」という2つの観点から、どのように資産の棚卸しをするべきかについて、その方法とポイントをご紹介しました。今回は、資産の棚卸しに基づき、今後の資産経営や相続対策の方針をいかに立案するかについて、レッツが実際にサポートをさせていただいたオーナー様の事例をもとに見ていきましょう。

資産全体の利益率を押し下げている要因が判明

都内S区にお住いのK様(68歳)は、代々引き継いできた不動産を複数所有されています。駅から徒歩5分にある自宅のほかはすべて賃貸物件で、広い駐車場が隣接するコンビニ、駅から離れた住宅街にある駐車場2ヵ所(仮に駐車場A・Bとする)、貸宅地があります。

このうちコンビニは安定的に収益を上げてはいるものの、駐車場は最近空きが目立ち始め収益性が低下。そのような中、K様はレッツ主催のセミナーへの参加を機に今後の資産経営についてレッツにご相談をされました。

レッツではまずご所有不動産の棚卸しを実施し、それぞれの損益や時価、相続税評価額を試算。その結果、2つの駐車場と貸宅地の償却前営業利益(詳細は前回記事参照)が低く、資産全体の利益率を押し下げている要因となっていることが判明。相続税評価額を見ると、貸宅地と駐車場Bはほかの資産と比較して特に相続税評価額が高く、駐車場Aも、貸宅地や駐車場Bほどではないものの相続税評価額が高いままでした。

収益性改善と分割・節税対策を同時に実現!

以上のことから、レッツでは各資産の特性と収益性、相続税評価額をもとに、

①自宅敷地は「収益性が低いものの生活基盤として保持すべき不動産」
②コンビニ用地は「安定した収益源として保持すべき不動産」
③駐車場A、Bと貸宅地は「収益性が低く相続税評価額が高いため、有効活用やほかの収益用不動産への組み換えや納税用資産として検討すべき不動産」

の3つにご所有不動産を仕分けし、今後の資産経営や相続対策の方針を検討するための判断材料としました。

まず、収益性の低い駐車場Bと貸宅地については売却を検討。ただし、駐車場Aについてはご子息の将来の自宅敷地として継続保有されることになりました。
また、広すぎる自宅敷地の一部については収益性の観点から有効活用策を立案。結果として駐車場Bと貸宅地の売却で得た資金で自宅敷地の一部に賃貸アパートを建築し、さらに都心に区分所有マンションを購入して賃貸するプランをK様に提案しました。

これら一連の施策によって、懸案だった資産の収益性は賃貸アパートと区分所有マンションで改善できました。また、区分所有マンションによってご子息への分割対策と節税対策も実現。さらに、将来的には区分所有マンションの一部住戸を売却することで納税資金の確保も可能になります。

このように、資産の棚卸しの結果をもとに打つべき対策は、オーナー様のご意向やエリア特性などによって異なり、まさに十人十色です。必要な一手を見極めるためにも「何が課題か、その解決のためにどうすべきか」という点を明確にしながら、ご所有資産を整理していくべきでしょう。

そして、日々変化する資産を取り巻く状況を正確に見極めるには、プロの経験や知見が欠かせません。ご所有資産についてのお悩みや不安は、ぜひレッツにご相談ください。

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オーナー様にとって大切な「資産の棚卸し」について、2回にわたってご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか? 本サイトではこれからもオーナー様の資産経営に役立つさまざまな情報を発信してまいります。

なお、本コラムは三井不動産グループの資産経営情報誌「Let’s Plaza 2020年1月号」に掲載した記事を修正、改題したものです。「Let’s Plaza」(年3回発行)では資産経営に関する旬な話題や詳細な事例などを豊富に掲載しておりますので、ぜひ最新号よりご購読ください。

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