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【レッツ資産承継セミナー レポート】最新の相続事情と税制を踏まえた快適セカンドライフへの備え方

情報誌レッツプラザ2024年Spring号より引用

2024年2月28日(水)、セカンドライフへの備えをテーマにした資産承継セミナーを開催しました。第1部ではエクスプレス・タックス税理士法人の廣田龍介氏が最新の相続事情と税制を踏まえたセカンドライフへの備え方について、第2部ではレッツの担当者が安心な住まいを実現するための資金準備や相続対策について解説しました。ここでは第1部の内容についてご紹介します。

2024年より「暦年贈与」「相続時精算課税制度」が変更に

まずは2024年度の税制改正について見ていきましょう。資産税関連の改正は軽微なものとなりました。既存住宅のリフォームに係る特例の拡充・延長や、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の見直し・延長など、これまでの控除や非課税措置が微調整された形です。

そのため相続対策に大きな影響を与えるものではありませんが、2024年1月1日から始まった「暦年贈与」の加算期間延長や「相続時精算課税制度」の基礎控除新設を受け、早い時期からの贈与や、使いやすくなった相続時精算課税制度への切り替えなど、生前贈与の選択肢には変化がみられます(図表1)。

また、空き家に係る譲渡所得の3000万円特別控除も施行を迎えました。譲渡が行われた翌年の2月15日までであれば、譲渡後に相続人が譲渡要件を満たしても措置が適用されることとなり、適用条件が緩和されたことで古家の譲渡が考えやすくなったと言えます。2024年4月からは相続登記の義務化も始まりますので、相続登記をしていない場合は早めに済ませておきましょう。

最も大きなインパクトがあったのは、居住用の区分所有財産の評価方法の変更でしょう。新たに区分所有補正率を掛け合わせる計算となりましたが、この補正率は、相続税評価額を一般的な市場価格の6割相当額まで引き上げることを目的として設定されたものです。実際、新たな評価方法で計算してみた結果、港区では相続税評価額がおよそ2倍になった区分マンションもみられました。

資産の組み換えや処分を積極的に行う人が増加傾向

こうした税制改正や相続に対する考え方は、時代とともに移り変わっていくものです。東京を例にとると、バブル崩壊前は不動産を保有している被相続人の多くは地主で、先祖代々の土地を守っていくという考え方が主流でした。土地の相続税評価額も上昇し続けていたため、節税が相続対策の要だった時代です。

バブル崩壊後は地価が急落し、被相続人・相続人ともに今後のライフプランを慎重に検討しなくてはならなくなりました。争族の問題も顕在化し、この時期から分割・納税・節税のバランスが重視され始めます。

そして現在、被相続人のボリュームゾーンは地方から上京した団塊の世代となっています。この世代は自分の手で一から資産を築いた人が多く、先祖代々の土地といった縛りがありません。そのため、積極的に資産の組み換えや処分を行う人が増えてきたのです(図表2)。

遺言書、家族信託、不動産の法人化…。万全な備えで快適なセカンドライフを

このように多くの被相続人が土地や親類縁者のしがらみから解き放たれ、自由な資産活用ができるようになった一方、自分の介護や不動産管理を任せられる後継者がいないという問題が出てきています。

誰しも高齢になれば認知症をはじめとした病気や身体機能の低下から逃れることはできません。そうなれば建物の管理や建て替え等も難しくなるでしょう。快適に安心してセカンドライフを送るためには、こうした不安が現実になる前に対策をしておくことが大切です。

まずは自身のライフプランを明確にし、相続人とともにいざというときのことを決めておきましょう。無用な争族問題を引き起こさないためにも遺言書は必須と言えます。家族信託や不動産の法人化、成年後見制度なども上手に活用しながら備えを万全にして、理想のセカンドライフを叶えていただきたいと思います。

◆    ◆    ◆

セカンドライフの住まい方や資金プランを検討される方は、ぜひ「レッツプラザ」(2024年Winter号)の特集や今回のセミナーを参考にしていただければと思います。

エクスプレス・タックス税理士法人 会長
税理士 廣田 龍介氏

福島県出身。1985年、税理士登録。1986年、株式会社タクトコンサルティングに入社し、不動産を使った相続税対策の草創期から資産税に携わる。2011年、エクスプレス・タックス株式会社代表取締役に就任。個人・法人の資産税を中心とした幅広いコンサルティングや講演活動を行っている。

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