「新たなステージの幕開け」「人生を謳歌する時間」――。人生100年時代と言われる今、セカンドライフはポジティブかつアクティブなイメージに変化しています。65歳以上で、公的介護保険のサービスを受けるための要支援・要介護認定を受けている方は約2割。残りの約8割の方は心身の状態もよく、元気で自立した生活を送っています。そのため、「現役時代は仕事や家族の世話などに使っていた時間を、これからは自分のために使うことができる。その大切な時間をどう過ごそうか」と前向きに検討する方が増えているのです。
快適セカンドライフの鍵は「住まい」と「資金」
では、健康寿命を延ばし、アクティブかつ自分らしいセカンドライフを送るにはどうしたらよいのでしょう。基盤となるのが「住まい」と「資金」です。住まいは健康寿命を延ばすために重要な視点です。現に65歳以上の事故(転倒による骨折等)の77.1%は自宅で発生しています。このような事故を防ぐためにも、住まいに人が無理やり合わせて暮らすのではなく、人に合わせて住まいを整えることが必要です。
資金は、住まいを整えるための費用として必ず準備しなければなりません。また、安心で充実したセカンドライフを送るには、趣味や介護のお金なども見込む必要があります。不動産オーナー様の場合は、今後の不動産活用や相続対策等にも関わってくるため、それらの観点も踏まえ、一度資金の見直しを行うのがよいでしょう。
住まいと資金の準備は5つのステップで行うのがお勧めです(図表1)。
ステップ1
自分が「将来どんな住まいで、どのように暮らしたいか」という想いや希望要件を整理しましょう。その想いが検討の指針となります。また、整理した希望要件に合った住まいに関する情報を集めることも重要です。
ステップ2
資金計画の検討です。自分に合った住まいを整える前に資金計画を立てておかないと後々後悔することになりかねません。例えば、ある一人暮らしの男性は、子どもに迷惑をかけないよう豪華なシニアマンションに早々に転居されましたが、将来の介護費を考慮していませんでした。結果、数年後に介護が必要になった際、資金が不足し、別の施設への転居を余儀なくされました。このような失敗をしないためにも、将来的にかかる費用や自分が準備できる資金を把握して計画を立てることが大切です。
ステップ3
資金計画と並行して相続対策も検討しましょう。資金計画の中で、現預金の使用や不動産の売却、組み換えなど、資産のポートフォリオを大きく動かす決定をすることがあります。それによって取るべき相続対策が変わる場合があるため、検討・調整を行う必要があるのです。
ステップ4
ご自身が望む住まい方を実現することは、ご家族の生活にも影響を及ぼすため、事前にご家族と話し合ったうえで決めましょう。特に自宅からシニア向け住宅や施設に住み替える場合は、緊急連絡先や保証人、身元引受人として、ご家族の連絡先を求められるため、ご家族の協力は不可欠です。
ステップ5
ここまで進んだら、いよいよご自身が望む住まいを実現していきましょう。
さて、住まいと資金を準備するための5つのステップを押さえていただきました。本記事ではこの後、ステップ1・2・3の内容を中心に住まいの選択肢と資金計画を立てる際の考え方についてご説明していきます。