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人生100年時代を楽しむために、今から考えたい!「住まい」と「資金」の生涯安心計画【第2回】

前回は、自分に合った住まいの選択肢として「自宅に住み続ける」「マンションに住み替える」「シニア施設に住み替える」の3つをあげました。今回は、それぞれを選択した際に必要な準備や留意点を見ていきましょう。

記事作成日:2024年1月10日
記事公開日:2024年3月31日
記事改訂日:2024年3月31日

《選択肢01》 最期まで住み慣れた我が家で……

自宅に住み続ける

生涯自宅に住み続けるためには、自宅が安全・安心に暮らせる環境なのか、吟味する必要があります。まずは今の住まいの問題点について、図表3の「住まいのチェックシート」で確認してみましょう。

安全・安心な自宅にする4つのポイント

長く住める自宅をつくるためには、以下の4つのポイントを考慮して、現状の問題を解消しつつ、長期的な目線で対策を講じましょう(図表4)。

1つ目は、「安全確保」。つまずきの原因となる段差や床の滑りを解消するなど、安全性を高める対策を行います。

2つ目は、「介護のしやすさ」。介護者がスムーズに動けるよう廊下を広くする、居室を整理するなどを考えます。

3つ目は、「さらに安全・快適に暮らすための工夫」。2階建てを平屋に減築するなどがあげられます。

4つ目は、「周辺環境」。近所に頼れる人を見つけておくなど、誰かが見守ってくれる環境を整えます。自宅での生活が困難になることも考慮し、事前に近隣のシニア施設を調べておくと安心です。

対策の留意点として、リフォーム代金は自宅の所有者が拠出しないと贈与にあたるため、お子様から援助を申し出られた際などには気をつけましょう。

《選択肢02》 一戸建てよりも安全・便利な住まいに……

マンションに住み替える

前述のように、一戸建ての自宅に住んでいる場合は、年齢を重ねると不安や不便さを感じることが増えてきます。一人暮らしの場合は防犯面の心配もあります。

それに対し、面積が縮小できる、ワンフロアで生活できる、段差が少なく安全性が高い、建物や敷地の管理手間がない等がマンションの魅力といえ、今までの生活スタイルを大きく変えずに安全に暮らしたい方が住み替えを望むケースも少なくありません。

また、今マンションに住んでいても立地や間取りを変更したいなどの理由から住み替える方もいます。では、マンションへの住み替えを考える際のポイントを見ていきましょう。

人気のシニア向け賃貸は早めの検討・申し込みが肝要

マンションは、「賃貸」「分譲」という契約形態と、「一般向けの物件」「シニア向けの物件」という物件の種類をかけ合わせた4つの選択肢があります。

「賃貸」は、分譲マンションの購入と比べ初期費用を大幅に抑えることができます。ただし、「一般向け賃貸」は、入居の審査が厳しいなど、シニア世代が借りるのはハードルが高いのが現状です。「シニア向け賃貸」はそのような問題がないうえ、バリアフリー設計で安全性が高く、室内に見守り機器や緊急通報システムも設置されています。しかし、需要に供給が追いついていないため、早めの申し込みが肝要です。

一方、「分譲」は購入費用がかかるほか、購入後も管理費や修繕積立金、固定資産税などのコストが生じるため、老後資金への影響が賃貸と比べ大きくなる傾向があります。半面、資産を得ることになり、将来売却や相続が可能です。

「一般向け分譲」は「一般向け賃貸」と異なり、シニア世代が買いにくいといった問題はありません(ただし、融資を受ける場合のハードルはあります)。

一方、「シニア向け分譲」には、食堂や大浴場、レクリエーション施設などが設けられており、家事の負担軽減やほかの入居者との交流が期待できます。スタッフが常駐する施設も多く、急病など緊急時の対応も可能です。

しかし、注意したいのは、サービスが充実しているぶん、管理費が高額なことです。また、住まなくなって売却しようと思っても、シニア向け物件は一般向けの物件に比べて購入者が限定されるため売却が難しくなる傾向があります。所有中は管理費や固定資産税がかかるため、特に将来子ども世代がそこに居住しない場合は後々家族の負担が膨らんでしまいます。

また、「シニア向け賃貸」や「シニア向け分譲」ならば最期まで安心して住めると思いがちですが、介護については別途、外部の介護サービスを利用する必要があります。マンションへの住み替えを選択する場合は、介護が必要になったとき、介護サービスを利用して在宅介護をするのか、シニア施設に入居するのかを事前に検討しておきましょう。

図表5に、それぞれの物件の特徴などをまとめましたので参考にしてください。

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