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関東大震災から100年……、今改めて考える! 資産を次世代につなぐ、地震リスク緊急対策【第1回】

記事作成日:2023年9月11日
記事公開日:2024年3月31日
記事改訂日:2024年3月31日

震災報道に触れるたび、「地震で自分の所有不動産に被害が出たら……」と不安を感じているオーナー様も多いことでしょう。一方で、「いつ起きるかわからない地震に対し、費用を投じて対策を講じる決断がなかなかつかない」という方や、過去に大きな地震が発生した際に建物に被害がなかったという経験から「自分の物件はきっと大丈夫だろう」と考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

しかし、日本において大規模な地震が発生しないといえる場所はないと気象庁が呼びかけるように、巨大地震はいつどこで起きても不思議ではありません。図表1は1923年に起きた関東大震災とそれ以降、大きな被害が発生した地震を抜粋したものですが、ここに挙げたものだけでも全国いたるところで巨大地震が起きていることがわかります。

そのたびに住宅やオフィスビル、商業施設など、さまざまな建築物に甚大な被害が生じているのです。まずは巨大地震が発生した場合、適切な地震対策を講じていない建物にはどのようなリスクが考えられるのかについて見ていきましょう。

巨大地震が不動産経営におよぼす重大リスク

では、もしも巨大地震が発生した場合、適切な地震対策を講じていない建物にはどのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。大きな点として以下の2つが挙げられます。

❶建物の被害がより深刻になり、不動産経営の圧迫につながる
まず、建物が倒壊する可能性も否定できません。また、倒壊まではしなくても、建物が傾いたり壁に亀裂が入ったりするなど、対策を施していれば一定の修繕で済んだはずのものが、修繕にかかる費用・期間ともに大幅に跳ね上がることもあります。場合によっては、修復不可能な状態にもなりかねません。そして、そのような状況を受けて入居者が退居してしまうと、家賃収入が大幅に減少し、高額の修繕費に加えて不動産経営の圧迫につながります。

❷入居者などに損害が生じた場合、オーナーの責任が問われる場合も
建物の倒壊や外壁の剥離が発生した場合、入居者や第三者を死傷させてしまうリスクにつながります。巨大地震の場合は、入居者や第三者に損害が生じても不可抗力としてオーナーの責任が問われないこともありますが、不動産の瑕疵(欠陥)などが認められる場合は、巨大地震であっても、その限りではありません。

次世代のことを考え、今からできる対策を

このように、適切な地震対策を講じないと巨大地震が起きた際に不動産経営に悪影響が出る可能性が極めて高いといえます。そして、さらに意識していただきたいのは、対策をしないまま放置すると、そのリスクや対策費の負担を次世代に引き継いでしまうということです。

また、それは相続対策上も得策とはいえません。対策を講じずに現金を残しておくと、その現金も相続税の課税対象となります。一方、相続前に対策を行えば、工事費等の支出により相続財産が減り、相続税も減額されるのです。こうしたことから、いずれ対策を講じる必要があるならば、ご自身の代で対策を完了させることをお勧めします。

日本では、各自治体による耐震化費用の助成金の交付などにより耐震化が進んできました。それでも2018年時点の共同住宅の耐震化率は約94%で、残り6%が耐震基準を満たしていないと推計されています(図表2)。6%というとわずかに見えますが、戸数では140万戸にもおよびます。それだけ多くの建物がいまだ耐震強度不足という深刻な課題を抱えているのです。

あなたはご所有不動産の耐震性についてどの程度把握されていますでしょうか? 「巨大地震はいつ自分の周りで起きてもおかしくない」と自分事としてとらえ、ご自身の所有不動産に必要な対策を考えましょう。もちろん地震のリスクを完全に回避することはできません。しかし、対策を講じることで被害を可能な限り抑えることはできるのです。

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