建設・不動産マーケットの総括と今後の展望 【講演者】 株式会社ニッセイ基礎研究所 佐久間誠氏
金利上昇局面における不動産価格の動向を読む
マクロな視点から経済を見ると、2019年末からのコロナ禍以降、先行きの見通しが立ちづらい状況が続いています。
しかし、春闘の賃上げ率に目を向けると、2023年には3・6%と1994年以来の高水準を記録し、2024年には5・1%とさらに前年を上回るなど、明るい兆しが見えています。日本経済は、コロナ禍の落ち込みから回復しており、2025年度に1・1%、2026年度に1・2%の成長が予測され、今後も国内需要を軸とした底堅い成長が継続する見通しです。
そうした中、日本銀行は2022年から段階的に金融緩和を修正し、2024年3月には短期金利を0%から0・1%程度に変更。さらに7月には0・25%へと引き上げられました。水準こそ低めなものの、利上げへと舵が切られたのです。
今のところ、不動産の価格は金利上昇局面の中でも上昇し、市場は活況を呈しています。しかし、今後、金利上昇の逆風が強まれば、耐えられない不動産も出てくることが予想されます。
不動産の慎重な選別がより重要になっていく
不動産市場全体を概観すると、コロナ禍で打撃を受けた賃貸オフィスは回復局面を迎えており、賃貸住宅についても在宅勤務の拡大やマンション価格の高騰を背景に需要が拡大しています。
市況は全体的に堅調と言えますが、エリアや物件の仕様などによって、「人気の物件」と「不人気の物件」の二極化が進んでいることは把握しておきたいところです。また、近年障壁となっているのが建築コストです。
コロナ禍前よりも建築費は約3割、資材価格は約4割も高騰しています。資材価格の高騰には一服感がありますが、働き手不足が進めば人件費の高騰が建築コストの押し上げ要因となります。建築コスト問題は解消の目途が立っていないのが実情です。
金利上昇やコスト増、都市圏への人口集中といった市場環境の変化を考えると、今後は不動産の慎重な選別や希少性を高める工夫がより重要になっていくと考えられます。
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