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知っておきたい不動産の話

スムーズな不動産取引に欠かせない「測量」の基礎知識

土地の正確な境界と面積は、不動産取引における取引価額や隣接する人間関係にも関わる非常に重要な情報です。その根拠となるのが測量図や登記簿ですが、測量の方法やレベルに違いがあり、例えば、いざ不動産を売却しようとしたときに、取引に使える測量図があるかどうかで、かかる時間やコストに大きな差を生じます。「測量」の基本をおさらいしておきましょう。

測量をスムーズに進めるために

測量図には大別して「確定測量図」「現況測量図」の2種類があります。

「現況測量」が民地といわれる「お隣さんや裏のお宅」との境界を確定させる作業であることに対して、「確定測量」はそれに加えて官地と言われる「公道や水路など国や地方公共団体などが所有している土地」との境界も確定させる必要があります。比較的広い土地を開発したり、分譲のために分筆したりする場合には必ず「確定測量」が必要になります。

ところで、実際の確定測量はどのようにおこなわれるのでしょうか。確定測量は道路などの官地(公有地)との境界まで確定させるわけですが、流れとしては、まず民地境(隣接地との境界)を決めてから管轄行政機関に申請をして担当官の立会いを求めることになります。つまり、確定測量の前提条件として民地との境界を先に確定させた現況測量図を作成する必要があるのです。また場合によっては道路の向い側の境界も確定するようにとの指導がある場合もあります。そのため「確定測量」をする場合には、3か月程は時間がかかると考えたほうが良いでしょう。


例えば相続が発生し、不動産を売却して納税するような場合、問題なくスムーズに進めば図1のようなスケジュールになります。

ところが、遺産分割協議や測量に時間がかかると相続税の納付期限までに売買代金を受け取ることができないこともあり得ます。冒頭でもあったように「隣接地所有者」から承諾を得る作業が簡単に進まない場合があるのです。なお、2006年には、境界のトラブルを「筆界特定登記官」に委ねることで解決をはかる「筆界特定制度」が施行されましたが、これをおこなうには1年ほどの時間を要しますし、「筆界特定制度」によって境界が特定されても、当事者が納得しなければ「境界確定訴訟」にまでもつれる可能性もあります。

今回は測量について簡単にお話をさせていただきましたが、皆様には、「測量には時間がかかるから早めにやっておくべきだ」という認識をぜひ持っていただきたいのです。それともうひとつ。お隣さんや裏のお宅、お向かいさんとはもめ事を起こさず日頃からうまく付き合うことが測量を成功させるひとつのポイントになるということを覚えておいてください。

※本記事は2015年9月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

関西支店 ソリューション営業部長

三井不動産リアルティ株式会社

神宮 保彦

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