知っておきたい不動産の話

私道トラブルとは?私道に関する権利や建築基準法について解説

私道では様々な問題が起こる可能性があります。道路法第4条「私権の制限」や建築基準法42条1項5号に基づき設置された道路(位置指定道路)等について、詳しく解説します。

皆さんが利用する道路には「公道」と「私道」があります。
「公道」についてはその権利や通行などについて問題が起きることは少ないと思いますが、「私道」はその所有権が民間にあることによって様々な問題が起こる可能性があります。不動産取引や建物の建築においても「私道」に関連する落とし穴は大きなダメージに繋がりかねないため注意が必要です。

私道に関する権利の問題

道路法第4条では「私権の制限」として「道路を構成する敷地、支壁その他の物件については、私権を行使することができない。但し、所有権を移転し、又は抵当権を設定し、若しくは移転することを妨げない」とされています。 ところが民法の規定(210条~212条)では「土地を所有する権利は、私道の通行権についても適用される」とあります。

なかなか難解ですね。どちらも日本の法律なのに正反対のことを言っているように感じませんか?
道路に関して定めている法律には「道路法」「民法」のほかに「道路交通法」「都市計画法」「建築基準法」等がありますが、複数の法律が介在することが道路の問題をより複雑にしています。

位置指定道路

位置指定道路は、建築基準法42条1項5号に基づき設置された道路で、一般的に図1のような形状のものが多く、単独あるいは複数の人が所有する私道です。

建築基準法の規定では「私道の所有者は、著しい不利益の無い限り、日常の道路利用者の通行を妨害してはならない」とされていますから誰でも当たり前に通行できると思いますよね。

ところが、規定は、あくまでも建築法規に基づき建物を建てる目的のためのものですから、私道所有者は「関係者以外通行禁止」などとして通行する人を制限したり、利用を制限することができるのです。

セットバック部分

建築基準法42条2項では、幅員4mに満たない既存の道路について、中心線から2mまでの部分を道路に供出することで建築を認めるかわりに、道路に供出した部分(セットバック)には構築物の設置を認めず、建物の敷地面積に参入することができないと規定しています(図2参照)。

このセットバック部分は道路に供出しているのだから第三者の通行が認められるだろうと思いますが、道路状に整備されていても私有地であることに違いなく、第三者が当然に通行できることにはならないのです。
本来、道路であっても私権の及ぶ土地を通行するには所有者の承諾が必要であり、水道工事などのために道路を掘削する際にも当然に道路所有者の承諾が必要となります。不動産広告に「別途私道負担部分12㎡有」といった記載を見かけますが、これによって道路の所有者としての権利が得られるということになるので、決して無駄なものではないのです。

道路の維持管理

「公道」については、それが国道か県道か市道かによって、各行政が道路の維持管理をおこなっていますが、私道については、その所有者がしなくてはなりません。

例えば、あなたが私道を所有しているとします。道路がデコボコになったため、あなたは50万円の大枚をはたいて綺麗に舗装しました。そこを大型車両が往来したり、関係ない人が勝手に穴を空けたりしたらどうでしょうか?「私の承諾なしに勝手なことをするな!」と思いませんか? そういうことで承諾が必要になるのです。

最近は持分の無い私道に接している土地に関する融資について金融機関が「通行・掘削の承諾書」の取得を条件としたり、取引の相手方が、それを求めるケースが多くなっています。その理由は、私道に関する紛争が多いからにほかなりません。

私道に接する土地を取引する場合、あるいは私道を所有している場合には、ここでお話したような内容を充分に理解しておく必要があります。

※本記事は2017年1月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

関西支店 ソリューション営業部長

三井不動産リアルティ株式会社

神宮 保彦

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