知っておきたい不動産の話

不動産取引の落とし穴、「私道」トラブルに要注意!

今回は前回に引き続き「道路」についてお話します。道路が建物の建築に大きな影響を与えることは前回「不動産の評価に欠かせない「道路」の知識」でご説明しましたが、もうひとつ、資産管理上重要な「道路と権利」の問題に関しても知っておかなければなりません。特に「私道」には、充分な理解と調査が必要です。今回は、この辺りをご説明していきます。

皆さんが利用する道路には「公道」と「私道」があります。
「公道」についてはその権利や通行などについて問題が起きることは少ないと思いますが、「私道」はその所有権が民間にあることによって様々な問題が起こる可能性があります。不動産取引や建物の建築においても「私道」に関連する落とし穴は大きなダメージに繋がりかねないため注意が必要です。

私道に関する権利の問題

道路法第4条では「私権の制限」として「道路を構成する敷地、支壁その他の物件については、私権を行使することができない。但し、所有権を移転し、又は抵当権を設定し、若しくは移転することを妨げない」とされています。 ところが民法の規定(210条~212条)では「土地を所有する権利は、私道の通行権についても適用される」とあります。

なかなか難解ですね。どちらも日本の法律なのに正反対のことを言っているように感じませんか?
道路に関して定めている法律には「道路法」「民法」のほかに「道路交通法」「都市計画法」「建築基準法」等がありますが、複数の法律が介在することが道路の問題をより複雑にしています。

位置指定道路

位置指定道路は、建築基準法42条1項5号に基づき設置された道路で、一般的に図1のような形状のものが多く、単独あるいは複数の人が所有する私道です。

建築基準法の規定では「私道の所有者は、著しい不利益の無い限り、日常の道路利用者の通行を妨害してはならない」とされていますから誰でも当たり前に通行できると思いますよね。

ところが、規定は、あくまでも建築法規に基づき建物を建てる目的のためのものですから、私道所有者は「関係者以外通行禁止」などとして通行する人を制限したり、利用を制限することができるのです。

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