不動産投資expertへの道

基礎から学ぶ不動産投資

具体例

一般にリスクが高いとされる株や、不動産で言えば「築古・地方・借地権」等の物件は、リスクに応じた高いリターンとなり、国債や不動産で言えば「都心部好立地の築浅マンション」等は、低いリターンとなります。

具体的に最近の不動産マーケットにおける利回り水準とともにご紹介しましょう。例えば、三井不動産リアルティが把握している、平成27年4~6月の期間に成約した、都心・城南・城西エリアの一棟マンションの表面利回り(年間賃料を物件価格で割った利回り)は平均で6.7%となります。これに対し、管理組合が組成されていて運営上の悩みの少ない、都心部のプレミアムマンション(※)1室の同期間における、表面利回りは平均で3.7%になります。

また、同じ物件でも運用方法によってリターンは変わってきます。一棟マンションを保有し、各賃借人からご自身の口座へ送金してもらって集金管理をおこなう、また日常清掃を自らおこなっている場合は、表面利回り6.7%、ネット利回り(年間賃料から想定年間支出を控除した純収入に対する利回り)5.6%(経費率17%)を獲得できるとします。一方、滞納保証を付して建物管理はプロに委託する場合、表面利回りは同じでもネット利回りは5.0%(経費率25%)と、リスクを抑えられる代わりにリターンが低くなるイメージです。

ここで表1のネット利回りと比較される、金融資産の利回りをみてみましょう。不動産の小口化商品ともいわれる、J‐REITの分配金利回り[(当期予想分配金+次期予想分配金)÷投資口価格として算出]と比較すると、オフィス中心の日本ビルファンド投資法人が2.8%、住居中心の日本アコモデーションファンド投資法人が3.4%となっています(平成27年7月調査時点)。ちなみに、調査時点を基準日とする日本の10年国債の金利は0.3%です。

このように、不動産のネット利回りとほかの運用方法による利回りを比較し、それぞれのリスクを把握したうえで、投資判断することが大切です。

※プレミアムマンション:都心エリアに存在する高品位なマンションの中から、三井不動産リアルティが独自にセレクトしたマンション

最後に

不動産投資を検討する際には、ご自身がリスクを取って資産を増やすべきステージにいるのか、それともリスクを抑える方向に向かうステージにいるのかを判断するためにも、保有資産ごとの投資指標を客観的に比較し、定期的に見直すことが重要です。

※本記事は2015年9月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

三井不動産リアルティ株式会社 コンサルティング営業本部

幡谷 修一

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