三井のレッツコンサルタントだより

自己資金をかけずに土地を有効活用する法

所有する土地の収益改善や税金、相続対策のため、その土地をもっと有効に活用したいが、自己資金や借入金をかけるリスクは背負いたくない──。どんな選択肢があるか、一部をご紹介します。

C様(男性:58歳)からのご相談

最近、駐車場の稼働率が低下しており、固定資産税等の負担が重くなってきました。
そこで、土地の有効活用を検討していますが、できれば借入れはしたくないと考えています。どのようなメニューが考えられますか。

コンサルタントからの回答

空きの目立った駐車場の有効活用

若い人の車離れ、レンタカーやカーシェアリングの普及などにより、特に都内の駐車場経営オーナー様の収益低下が目立ってきています。

月極の一部を時間貸しにすることで安定収益を確保することが可能になる例もあります。また、駐車場は流動性が高く、複数の不動産を所有されているオーナー様にとっては相続税の支払いのために駐車場のまま確保しておくケースも多いと思います。

しかしながら、駐車場は住宅と比べ固定資産税の負担が重く、また相続税評価額も更地評価のため非常に高く算定され、さらなる収益改善やより積極的に相続対策を考えられるオーナー様からの相談も多くいただきます。

資金(自己資金・借入金)をかけない対策の検討

今回、お客様のご希望は借入れをされたくないとのことですので、考えられる有効活用策としては、主に【表1】の3案が挙げられます。

A案は敷地の一部を売却し、その売却資金で2階建てアパート等を建設する案です。耐用年数の長い建物となるので、30年以上の活用に適しています。アパートを賃貸管理会社にサブリースしてもらうことでオーナー様ご自身が賃貸管理の手間にわずらわされることなく、安定した収入が入ってきます。

定期借地とリースバック

B案・C案については、事業会社に賃貸する案です。

本土地はバス通りに面しており、ロードサイド店舗の需要が考えられる立地でした。一般的に事業用のニーズとして想定される業種は、コンビニエンスストアやドラッグストアなどが候補として考えられます。

事業方式としては事業用定期借地方式(B案)と、オーナー様が事業者用に建物を建設し、事業者に賃貸するリースバック方式(C案)が考えられます。C案の場合の建設資金は、建物の建設資金を事業者が「建設協力金」という名目でオーナー様に無利息で預け入れ、オーナー様はそれを建設資金に充当し、月額の賃料から建設協力金の返還に回すことで銀行などからの借入れをおこなわずに事業用の建物を建設するスキームです。事業者の希望に合った建物を建設するので、一般的にはB案の場合より高収益が期待できます。賃借人の撤退や倒産リスクが考えられますが、中途解約した場合に残りの保証金の返還をなくす条項を盛り込めば、ある程度のリスクは回避できます。ただし、建物は賃借人専用で作られており、別用途に転用しにくいなどのマイナス面を考慮する必要があります。

そのほかの活用策としては、土地全てを売却し、収益不動産(アパートや区分所有マンション)などに組み換える案もありますが、オーナー様は子供の頃に過ごしたこの土地に思い入れがあり、土地全てを売却することは望まれませんでした。


■さまざまな角度からの総合的な検討が大切

このように、借入れをしないで活用する案は様々考えられますが、検討にあたっては、事業者の選定から収益性、事業の将来性や、相続が発生した場合の分割対策や税務面の検討をはじめ、メリット・留意点、さらに想定されるリスクなどを考慮し、総合的に判断する必要があります。そのためにも、信頼できるパートナーの選定が大切になってきます。ご検討の際には、ぜひレッツにご相談ください。

※本記事は2015年1月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

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