用語クローズアップ

リノベーションとコンバージョンの違いと今後

毎年新たに賃貸住宅やオフィスビルの供給が進み、空室率や賃料水準は優勝劣敗の様相を呈しています。稼働率や収益性が落ちつつある物件を抱えたオーナーにとっては、なんとかして資産価値を回復し、収益性改善を図らねばなりません。そのための手法のひとつとして注目される「リノベーション」と「コンバージョン」について解説します。

コンバージョンについて

コンバージョンを選択する要因については、 ①周辺環境の変化や社会環境の影響を受け、経年によりニーズが変化している立地である。 ②周辺の人口動態に変化があった立地である。 ③建物の所有意義そのものが変わってきた、または変えたいなどがあげられます。こうした周辺環境やニーズの変化によりこれまでの用途ではなく、別の用途に変更することで収益性を高められる場合に「コンバージョン」が効果的となります。

オフィスビルや社宅を賃貸マンションに変えたり、企業の独身寮を女子専用学生会館やシェアハウスに変更するなどが代表的な事例ですが、昨今の事例ではオフィスビルをビジネスホテルへ変更したり、郊外の大型高機能倉庫に顧客を奪われた都心の中小倉庫を賃貸マンションや天井の高い独創的なオフィスに転用するなど様々なマッチングがおこなわれています。

また、都心では健康への関心の高まりから、手軽に運動をしたいという声も増えてきており、賃貸住宅をコンバージョンしたフィットネスクラブの需要が見込めるなど、社会全体に目を向ければ様々な可能性を模索することが可能です。

「リノベーション」と「コンバージョン」の今後

毎年新たに賃貸住宅やオフィスビルの供給が進み、空室率や賃料水準は優勝劣敗の様相を呈しています。オーナーにとっては、所有する資産から、いかに継続的・安定的に収入を得られるかを経営者として真剣に考えなければならない状況となりました。

その手法のひとつとして「リノベーション」と「コンバージョン」は、既存建物の有効利用・都市居住・環境問題としての建設廃材低減といった時代の方向性との親和性も良く、都市を再生する手法としても注目され、ますます拡大していくことが予想される事業手法と言えます。

※本記事は2015年9月号に掲載されたもので、2021年12月時点の法令等に則って改訂しています。

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