老朽化不動産の処方箋【第2回】建替え

「建替え」による用途変更がもたらした、数々の問題解決とは?

老朽化対策

築48年で旧耐震基準の小規模オフィスビルを所有する都内T区のA様は、大口テナントの移転をきっかけに、経営上の岐路に立たされました。そして、様々な環境条件、事業性や安定性、将来性などを比較検討した結果、「建替えによるオフィスビルから賃貸住宅への用途変更」を決断したのです。代々受け継いできた所有地を手放すことなく、将来性のある安定的な事業基盤を確立するまでの事例を紹介します。

耐震性への不安が募るなか、大口テナントの退去に直面

今回ご紹介するのは、都内T区の駅徒歩7分のご所有地にオフィスビルを所有されていたA様(72歳)です。RC造・地上5階建のビルは築48年で旧耐震基準の建物だったことから、以前より耐震性に対する不安をお持ちでした。

また、この建物は1フロア面積が約55坪の小規模オフィスビルで、2階から5階までを一括で貸していたテナントがありました。

しかしある時、この大口テナントは都心にある別のオフィスビルへの移転を決定。一度に4フロア分が空いてしまい経営上の大きな打撃となってしまうことから、A様は「何か手を打たなければ」とレッツにご相談を持ちかけられました。

綿密な市場調査をもとに住宅への用途変更を提案

「愛着のある所有地を手放すことなく活用したい」というA様のご意向を確認したレッツは、まず近隣の詳細なマーケティング調査を実施。その結果、都心部で駅から近い当該地は、オフィスだけでなく住宅のニーズも高く賃貸マンションの需要も高まってきていることがわかりました。

一方、都心部では、1フロア300坪以上の大規模オフィスビルに対するニーズが高まっており、A様が所有するような1フロア100坪以下の小規模オフィスビルの需要は低下傾向にあります。実際、退去することになったテナントも、1フロアが広い大規模オフィスビルへの移転を計画していました。

また近年、災害時の安全性やBCP(※)などの観点から耐震性が担保されていることを入居条件としている企業も多く、現行の耐震基準を満たさないオフィスビルのテナント募集は難しくなってきています。そのため仮に引き続きオフィスビルとして活用するのであれば、多額の投資による耐震補強工事で現行耐震基準をクリアしておく必要がありました。
※ BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)

こうした事情に加え、事業性や安定性、将来性などを比較検討した結果、レッツはオフィスビルから賃貸住宅への用途変更を検討することになりました。

オフィスビルから賃貸住宅へ建替えによる再生を決断

オフィスビルから賃貸住宅への用途変更を図るうえでまず検討したのが、現状の建物を改修して住宅に用途変更するか、あるいは、新たな賃貸住宅に建て替えるという事業手法の選定でした。レッツでは、現状の建物が容積率をすべて消化していない点に着目。既存建物の改修では未消化の容積率は上乗せできず、建替えであればすべて容積率を消化できることから、A様は新たに建物を建築して事業規模を拡大し、事業性能を上げる「建替え」を選択されました。

建替え事業の計画立案にあたっては、周辺の賃貸マーケットや成約事例などの十分な検証と、適正なターゲット設定などに基づいた商品企画、そして綿密に試算された事業収支計画をA様にご提案。精査した事業計画を基に建替え事業がスタートしました。

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