「インスタイルレジデンス本駒込」オーナー 住本雅昭様
躯体を残しながら新築同様に再生できる方法がある⁉
住本様のご祖父様が子孫に収益不動産を残してあげたいという想いから、1976年に広い自宅を取り壊し建設した「インスタイルレジデンス本駒込」(東京都文京区)。ご祖父様、ご両親と受け継ぎ、住本様も十数年暮らした愛着のある物件です。「しかし、築30年を過ぎるころから老朽化が目立ち始めました。修繕費がかさみ、入居率も年々下がり、抜本的な対策が必要となったのです」と住本様。とはいえ、建築法規の変更により、建て替えとなると現状の7階建てを3~4階に変更せざるを得ないため、なかなか踏み切れずにいました。
「そのころ、風の噂で建物の躯体を残しながら新築同様に再生できる方法があると聞いたのです。今思えばリファイニング建築のことですね。素晴らしいと思ったものの詳細が分からないまま月日が過ぎていき、その後、東日本大震災などの大地震が頻発し、耐震性の強化も含め対応がいっそう急がれる事態になっていきました」と住本様は振り返ります。
そんな住本様に転機が訪れたのは2021年のころのこと。三井不動産が青木茂建築工房とともに取り組んでいるリファイニング建築について、銀行から紹介を受けたのです。「待ち望んでいたものがようやく現れたと思いました」と住本様。リファイニング建築との出合いを契機に、いよいよ本格的な検討がスタートすることになりました。
「リファイニング建築のよさは十分分かっていましたが、この物件に適用できるか、建て替えと比較してコストや工期でどれほどメリットが得られるか、物件価値をどれだけ向上できるかなどの見極めが必要でした。その材料を提供してくれたのがレッツです。リファイニング建築を実施した物件を見学させてもらったり、支出と収入のシミュレーションを提供してもらったりと大いにサポートしていただきました」
間取りの多様化や戸数拡大で事業効率を向上!
「さまざまな角度から検討した結果、心から納得したうえでリファイニング建築を決断しました。耐震性能の強化、躯体残存による収益性の維持・向上、コストや工期の低減といったメリットが得られるうえ、環境負荷を軽減できることにも強く引かれました。既存のものを活かし、次世代につないでいくことは持続可能な社会づくりに通じます。そして、それは不動産事業だからこそできる社会貢献だと思ったのです」
三井不動産グループのネットワークや市場分析力を活用し、賃貸ターゲットも再設定。これまではファミリー層を中心とした構成でしたが、共働きで子どものいないDINKs層をメインターゲットに間取りを多様化し、戸数も32から39に拡大しました。「レッツからは事業効率の向上に向け、最善の提案をもらいました。また、次世代への承継も見据え管理手間軽減のため、三井不動産レジデンシャルリースとサブリース契約を交わすなど、グループの総合力を活かしたサポートにも非常に満足しています」
インスタイルレジデンス本駒込は2023年4月に着工し、2024年3月に竣工を迎えました。「まったく新しい物件に生まれ変わったようで、仕上がりは想像以上。耐震補強も万全で、安全な建物ができたことに安堵しています」と住本様。見学会も盛況で、メディアでも取り上げられるなど注目を浴びました。
オートロックでセキュリティを強化するなど機能も刷新したことで新築と同等の賃料設定が可能となり、リファイニング前は半分程度だった稼働率はV字回復し、現在はほぼ満室となっています。「不動産経営に携わって30年近くになりますが、収益を上げることだけが目的でないはずだとずっと思っていました。そういう意味でも、今回はまさに会心のプロジェクト。物件の価値をさらに高めて次世代へつなぐという、社会に貢献できる仕事ができたと思っています」と笑顔で語ってくれました。
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なお、住本様は2024年6月20日開催のレッツ資産承継セミナー「建築費高騰時代における次世代への老朽化不動産の引き継ぎ方」にもご登壇くださいました。セミナーレポートはこちらからご確認ください。