複雑な権利関係を解消した等価交換事業

都心の街・初台に生まれた街並みと美しく調和する集合住宅。

新宿駅から京王新線でわずか1駅、都心の利便性と機能性を享受できる古くからの住宅街・渋谷区初台。甲州街道のすぐ脇にある「初台」駅南口から「初台商盛会」という商店街を南へ3分ほど歩いた右手に、2010年12月、住宅73戸・店舗7区画の「パークリュクス初台」が竣工しました。

単身者からファミリーまで幅広い層の住宅需要のある街に生まれたこのマンションは、１階の店舗フロアが約70坪もの広さを誇る地域最大のコンビニエンスストアやベーカリーなど、そして2階から6階は分譲住戸50戸と賃貸住戸23戸（一部住戸は自己居住用）という構成。アースカラーを基調とした風格漂う外観は周囲の景観に溶け込みながら、街並みに印象的なアクセントを添えています。

所有地の権利関係整理が課題に―。

いくつかの所有地の新たな有効活用策を模索していたK様は、ある区画の容積率の規制緩和を機に、より収益力を期待できる事業への転換を検討されることに―。しかし、その土地にはひとつ大きな問題がありました。代々受け継がれてきた当該地は、古くは数十年も前から合計で6つの借地権が設定されており、K様の一存では新たな土地活用を進めるわけにはいかなかったのです。さらに、同区画にはご自身で経営する賃貸住宅や駐車場などもあり、底地、借地、貸家が混在し、権利関係が複雑化。借地人の方々とは円満な関係を維持しながらも、賃料改定の交渉や土地管理は必ずしも容易ではない状況でした。

地価上昇やそれに伴う固定資産税などを考えれば、収益性改善にも取り組む必要があり、将来を見すえれば、円滑な相続のためにも複雑に絡まる権利関係をシンプルにしておきたい。

2005年、そんな想いからK様は、以前から賃貸マンションの建設プロジェクトで関わりのあったレッツに相談を持ちかけられました。

錯綜する権利関係を解消する、複雑な等価交換プロジェクト。

ご相談を受けたレッツでは、錯綜する権利関係を整理しながら、収益性を改善できる土地活用プランを様々な角度から検討。その結果、マンション企画・建設・分譲を担う三井不動産レジデンシャルと連携し、底地と借地をひとつにまとめた上での等価交換マンション建設プランを立案します。

このプランは、建設予定地を提供するK様が、三井不動産レジデンシャルからご所有の土地所有権と底地権に応じた住宅と店舗部分の区分所有権を取得され、6名の借地人は、三井不動産レジデンシャルから各々の借地権割合に応じた住宅の区分所有権を取得するというもの。従来の底地権と複数の借地権を解消し、それぞれを完全所有権としての区分所有権に転換させる複雑な事業計画でした。

こうした権利関係の整理に加え、賃貸マンションのサブリースによる収益力の向上・安定。期待できるこのプランは、K様からもご賛同をいただき、実現へ向けて動き始めました。

最初のステップとして求められたのは、借地人の方々との合意の取り付けです。そのためにまず、長いお付き合いのある借地人の方々へK様が最初に開発推進の意思表示をされ、続いて三井不動産レジデンシャルが具体的な契約内容や権利関係に関する交渉を継続的に実施。約半年間、丁寧で根気強い折衝の結果、すべての借地人の方々と合意書を取り交わすことができ、晴れてプロジェクトの実施が正式に決定しました。

これを受けて、賃貸住戸の安定収入実現のため、サブリース契約を結ぶ三井不動産住宅リースが参画する一方、三井不動産レジデンシャルでは市場性にマッチした商品企画に注力。こうして2009年7月に着工した「パークリュクス初台」は2010年12月、待望の竣工を迎えることができました。