Crescent Court/Zenpukuji Court オーナー様/A様
暫定的に時間貸駐車場として利用していた所有地の有効活用が資産経営の長年の課題に。
東京都墨田区、都営新宿線「菊川」駅から徒歩1分の交通至便の地に建つ「Crescent Court(クレッセントコート)」は、1階に店舗テナントが入居する5階建て・計12戸の単身者向け賃貸マンション。白を基調としたスタイリッシュな外観デザインやグレード感の高いホテルライクな水回り設備などがとくに女性の人気を集め、完成以来、満室稼働を続けています。
「コストや収益性もさることながら、プランの是非を判断するうえでの大きな基準だったのが、自分自身が住みたいと思える家かどうか。家族構成や年齢といった状況はひとまず脇に置いて、私にとってその建物が住まいとして魅力的かどうかでした」。
こう語るオーナーのA様は、都内で主にオフィスビルの賃貸事業を展開。「Crescent Court」が建つ約50坪の菊川の土地は先祖代々のご所有地で、それまでは時間貸駐車場として活用されていました。しかし、それもあくまで暫定的な土地活用と考えていたというA様。駅から至近という立地面の利点などを考慮して、より収益性を期待できる不動産事業への転換が長年の資産経営課題となっていました。
そんな中、複数の企業からいずれもワンルームマンションによる事業計画の提案を受けたものの、投資コストと収益力のバランスといった面で、なかなか納得のいくプランには出会えません。時間貸駐車場に代わる新たな事業プランが見出せないまましばらく経った2005年頃、三井不動産に勤務するご友人を介して、A様はレッツの存在を知りました。
土地の優位性など諸条件を総合的に判断し、ハイグレードなRC造賃貸マンション建設を決定。
ご相談を受けたレッツでは、当該地の市場性を踏まえて、当初からA様も考えておられた賃貸住宅事業の検討を開始。プロジェクトに三井ホームが参画し、中層3階建てから高層13階建てにいたるまで、ありとあらゆる建物プランを立案・検証します。
検討段階では、建築費などの投下コスト、そして、収益の源泉となる戸数・床面積のボリューム、さらに、戸数やフロア数などに応じて課せられる法的義務など、あらゆる条件を総合的に勘案。きめ細かな事業収支のシミュレーションを重ねた結果、RC造5階建て・貸店舗1戸を含む計13戸というプランがまとまりました。
さっそくA様にご提案すると、それまで他社が提示してきた数多くのアイデアの中でもあらゆる点でベストな事業プラン、と太鼓判を押していただき事業化が決定。建物仕様など細部を詰めていきながら計画は具体化していきました。
そして2007年6月、それまでもっぱらオフィスビルを経営してこられたA様にとっては初めての賃貸住宅物件が着工。オーナー様自ら部材などを1つひとつ確認されながら、1年2ヵ月後に竣工した洗練されたデザインの集合住宅は、語感や文字の並び、それに家族にとって思い出深い馴染みのレストランの名前などから「Crescent Court」とA様ご自身によって命名されました。
家族の思い出が詰まった大切な土地に、賃貸メゾネットによる美しい新街区が誕生。
菊川のプロジェクトが着々と進む一方で、A様にはもう1つ、有効活用の方法を模索していた不動産資産がありました。それは、かつて数十年間にわたって家族が暮らした自宅で、その後、賃貸していた杉並区善福寺の約250坪のご所有地とそこに建つ邸宅です。
緑豊かな善福寺公園の善福寺池と接するこの地は、すでに他界されたご主人や巣立ったお子様たちとの思い出の詰まった大切な場所。それだけに、有効活用する場合でも昔から変わることのない閑静な住宅街の雰囲気、そして、この地に刻まれた家族の記憶を壊さないものを作りたかったといいます。
すでに菊川のプロジェクトで三井不動産グループの仕事ぶりに接していたA様は、この大切な善福寺を任せられるパートナーは、レッツ以外にはない、とその有効活用施策の提案を依頼されます。
当初レッツでは、当該地が第一種低層住居専用地域であることを考慮し、低層のRC造賃貸マンションとツーバイフォーによる2階建てメゾネット4棟というプランを立案。A様も交えて検討を重ねていく中で、マーケット特性や床面積ボリューム、建築コスト、減価償却期間などの優位性から、事業プランをメゾネットに決定しました。
賃借人との契約期間が満了した翌月の2009年4月に着工したメゾネットは、菊川の「Crescent Court」同様、一般的な賃貸物件よりもハイグレードな仕様を設定。外構部は三井ホームが植栽計画を立て、ご自宅だった当時の庭園を手がけた造園業者によって、木々などの緑がふんだんにあしらわれました。
建設中から分譲物件と勘違いした人から購入の問い合わせが多かったという4棟・計8戸のメゾネット「Zenpukuji Court(善福寺コート)」は、2009年8月に新たな街区として完成。「街並みに溶け込み、ずっと昔からそこにあったようなものを」というA様のご要望にこたえ、近隣の方からも大好評のメゾネットは、またたく間に入居者が決まり、晴れて満室稼働という最高のスタートを切りました。
事業を成功に導いた確かな信頼関係と、オーナー様とチームメンバーを結ぶ熱い想い。
菊川、善福寺の両物件とも、三井ホームエステートとサブリース(一括借り上げ)契約を結び、賃貸住宅の運営・管理や収支などに関する一切を委託。A様にとっては初めてとなる賃貸住宅経営を全面的にバックアップしています。
「三井さんはグループ会社や各部門間の連携がしっかりしていて、一度伝えた情報はすべてのご担当者の方が共有されていました。誰に何を話してもきちんと理解してくれる、そんな安心感が大きな信頼関係の礎になったと思います」。
間取りや設備・仕様など、住まいづくりの様々な面で、明確なイメージとしっかりしたご意見をお持ちだったA様。そんなオーナー様の熱い想いにおこたえしようというチームメンバーの熱意が今回のプロジェクトを成功へ導いたようです。
「大事に思っていた所有地それぞれに自分自身で住みたいと思うような本当にいいものができました。それに、サブリースのおかげで慣れない賃貸住宅経営の負担もまったく感じることがなく助かっています。
もともと住まいや暮らすことにとても興味があったので、4年にわたる2つのプロジェクトは本当に楽しい経験で、完成してしまったのが実はちょっと寂しいほど。他の所有資産はすべて法人向け物件ですが、住宅に限らず、これからの資産経営について、三井さんにはぜひまたご相談に乗っていただきたいですね」。
A様が踏み出した「賃貸住宅」という資産経営の新たな一歩。順風満帆のスタートとなった2つの事業の将来に、大きな期待を寄せていらっしゃいます。
ご所有地や建物にこだわりや思い入れのあるA様との今回のプロジェクトでは、私どももやり甲斐と面白さを大いに感じさせていただきました。三井不動産グループの総力を挙げて取り組ませていただいた2つの事業が、オーナー様にご満足いただける結果となり大変喜ばしい限りです。