利用できる税額軽減措置が使えるかの確認

相続人の人数により、相続税の基礎控除額が変わります。

基礎控除の算出方法

相続税額の計算においては、まず「3,000万円+600万円×法定相続人の数」分が、遺産にかかる基礎控除額として、相続する財産の評価額から差し引かれます。つまり、遺産額がこの基礎控除額以下であれば相続税は課税されません。そして、基礎控除額を超えた部分にのみ、各相続人の取得金額に応じた税率を掛け合わせて相続税が課税されます。

なお、民法上の相続人とは異なり、相続税法上の「法定相続人」に参入できる人数は、実際の相続状況にかかわらず「相続放棄がなかった場合」を前提に算出されます。また、養子の取り扱いについても、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までしか法定相続人に参入できません。

親よりも先に子供が亡くなっていた場合、孫が相続人に繰り上げられます

本来、相続人になるはずだった子供が被相続人より先に亡くなった場合などには、その子供の子や孫が代襲相続人として、亡くなった子供の相続に関する立場を引き継ぎます。ただし、相続人が兄弟姉妹であった場合は、代襲できるのは兄弟姉妹の子(被相続人から見た甥姪)までに限られています。

相続人や取得方法等により、様々な軽減措置を受けることもできます。

実際に納付する相続税額は、誰がいくら財産を取得するかによって変わりますが、相続が起こった後の相続人の生活の安定を確保するために、一定の要件のもとに税額軽減・控除が認められています。

代表的なものに、被相続人の配偶者が取得する財産については、法定相続分に相当する金額(8ページ参照)または1億6,000万円のいずれか大きい価額まで納付税額が算出されないという、「配偶者の税額の軽減」があります。

その他の軽減措置としては、相続開始から3年以内に被相続人から贈与を受け贈与税を納税した場合に対象となる贈与税額控除や、未成年者控除、障害者控除等があります。

その他の主な軽減措置

種類 内容
贈与税額控除 被相続人から、相続開始3年以内に贈与を受け、
贈与税を納付した場合、贈与税額が控除されます。
未成年者控除 (20歳ー相続開始時の年齢) × 10万円が控除されます。
障害者控除 (85歳ー相続開始時の年齢) × 10万円(または20万円)が控除されます。
相次相続控除 短期間に2回以上の相続が起こった場合、納付した相続税額から
一定額が控除されます。
外国税額控除 国外にある資産を相続し、その国で相続税が課せられた場合、
二重課税にならないために一定額が控除されます。
相続時精算課税制度にかかる
贈与税額控除
相続時精算課税制度(相続発生後に贈与分と相続分を合算する制度)を選択している場合には、
すでに納付した贈与税額が控除されます。

配偶者の税額の軽減の賢い使い方

相続人の中に配偶者がいる一次相続では、この軽減措置により大幅に納税負担を軽減できます。一方、配偶者の税額の軽減が適用できない「二次相続」では、多額の税金がかかってしまうこともあります。目先の税額軽減だけにとらわれず、二次相続まで見据えた対策を検討することが大切です。

基礎控除などを把握できたら

3.相続税評価額を把握する

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