ポイント❷ 次世代の方の意見を聞き、相続発生前の承継も検討する
資産のリフォームや売却等の大きな意思決定をする際は、その資産を承継する予定のお子様の考えを聞いておきましょう。
そうすることで、お子様は将来実家に住もうと思っていたのにシニア施設への入居費用のために売却してしまった、お子様が建て替えようと考えていた自宅に高額なリフォーム費用をかけてしまった、子どもに資産を残そうとシニア分譲マンションを購入したが引き継いだ子どもはシニア分譲マンションに住まないにもかかわらず高額な管理費を負担し、さらに売却しようとしても買い手が限られる中で思うように売却できず困ってしまったなどの不幸なすれ違いを未然に防ぐことができます。
また、資金計画・相続対策の方針をしっかり立てたとしても、認知症等になってしまった場合は「意思能力がない」とみなされ、ご自身はもちろんご家族であっても預貯金の引き出しや解約、不動産の売買などの各種契約行為が制限されてしまい、希望していた住まい方の実現や、資金計画・相続対策の実行に影響が出てしまいます。
具体的には、一般的に意思能力がなくなると家庭裁判所が選任した「法定後見人」に財産管理をゆだねることになりますが、この「法定後見人」の判断は被後見人の資産の保護を目的としています。そのため、例えばご自身やご家族が望んでいたシニア施設があったとしても、入居資金捻出のために自宅の売却ができず、その結果、望んでいたグレードではない施設への入居を余儀なくされる可能性があります。
そのような状況を回避するためには、認知症になった場合の資産の運用についてもご自身が元気なうちからご家族と相談することをお勧めします。また、認知症対策には「任意後見契約」や「家族信託契約」などいくつかの方法がありますので、必要に応じてこれらの仕組みを検討しながら備えをしておくのがよいでしょう。
いかがでしたでしょうか? ご自身が望むセカンドライフを実現するには、早いうちからの検討が大切です。専門家に相談しながら、ぜひ今から考えていただきたいと思います。
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なお、本コラムは三井不動産グループの資産経営情報誌「Let’s Plaza 2024.Winter号」に掲載した記事を修正、改題したものです。「Let’s Plaza」(年3回発行)では資産経営に関する旬な話題や詳細な事例などを豊富に掲載しておりますので、ぜひ最新号よりご購読ください。