Pickup Archive

<レッツ資産承継セミナー>「共有解消」の選択肢とは

情報誌レッツプラザ2026年Spring号より引用

2026年1月29日(木)、共有不動産をテーマに資産承継セミナーを開催しました。第1部では、日本不動産研究所の吉野薫氏が国内不動産マーケットと今後の展望について講演。第2部では木島綜合法律事務所・弁護士の木島昇一郎氏が共有不動産に関する法的な留意点について解説し、第3部ではレッツのコンサルタントが事例を引きながら共有不動産の解決策をご説明しました。ここでは、第2部と第3部の概要をご紹介します。

専門家から学ぶ共有不動産の法的な留意点【講演者】木島綜合法律事務所 弁護士 木島 昇一郎氏

権利を行使するには共有者同士の調整が必須

共有不動産においては、共有者一人ひとりの所有権、つまり「使用・収益・処分」を行う権利そのものは、不動産を単独で所有している場合と同様に持つことになります。

しかし、複数人が同時に所有しているため、行使の際には共有者同士の調整が不可欠となります。権利行使に関する行為は、「変更」「管理」「保存」の3つに区分され、行為の程度に応じて、必要となる共有者の同意の範囲が以下のように定められています。

  • 共有物の変更(軽微な変更を除く)

建物の取り壊しや土地の造成といった物理的な変更の他、土地や建物の譲渡などの法的な変更も含まれ、共有者全員の同意が必要(民法251条1項)

  • 軽微な変更行為・管理行為

​​​​建物の変更を伴わない日常的な管理に加え、形状または効用の著しい変更を伴わない軽微な変更(サブリース契約から直接契約への変更など)も含む。これらを行うには「各共有者の持分の価格」の過半数で決することができる(民法252条1項)

  • 保存行為

​​​​​​​​​​​​​​​​​​ブロック塀の倒壊に伴う残骸処理など、現状を維持するための行為は、共有者1人で共有物全体に対して行うことができる(民法252条5項)​​​​​​​​​​​​​​

可能な限り法的手続きに至る前の解決を

不動産を共有状態で放置した結果、相続などの際にトラブルに発展することもあるため、共有解消の方法を知っておくことが大切です。法務の視点からは主に、次の3つが挙げられます。❶自分の持分を他の共有者や第三者へ「譲渡」、❷持分の「放棄」、❸共有物の分割請求。​​​​​​​

❸を行う場合、共有者全員の合意があれば分割方法を自由に決めることができます。実務的には「現物分割」「代金分割」「価格賠償分割」のいずれかの方法が用いられます。概要を図表1にまとめました。

 

共有者間の協議による解決が困難な場合は、裁判所に共有物の分割を請求することができます。しかし、解決までに時間と費用を要し、競売による分割を命じられた場合は、落札価格が市場価格の約30%減となる可能性もあるなどのデメリットがあります。

そのため、不動産の共有解消にあたっては、不動産の市場価格を踏まえながら、共有者全員の合意形成に努め、可能な限り法的手続きに至る前の解決を目指しましょう。

共有不動産の課題をどう解くか【講演者】三井不動産株式会社 プライベートソリューション部 羽田 将宏

共有解消のための6つのアプローチ

木島先生が述べられたように、共有にはさまざまな課題がついて回ります。共有関係を解消する方法について、土地活用の視点からは主に6つのアプローチが挙げられます。

  1. 共有地を各持分に応じて分割し、単独所有の土地に変更する「共有分割」

  2. 共有地を売却し、得られた現金を分割する「第三者への一括売却」

  3. 共有地をデベロッパーに提供する代わりに、完成後の建物の一部を取得する「デベロッパーとの等価交換(立体買換え)」

  4. 共有者間で分割協議が整わなかった場合は、法的手続きによって解決を図る「共有物分割請求訴訟」(①~④は木島先生講演内の❸「共有物分割請求」の具体的手段に該当)

  5. 一方の共有者が他方の共有者の持分を購入する「共有者間の売買」

  6. 共有者同士でそれぞれの不動産や持分を交換する「共有者間の交換」です(⑤⑥は❶「譲渡」に該当)。

この6つのアプローチを踏まえながら、レッツにご相談に来られ、円満な共有解消を実現されたお客様の事例について見ていきましょう。

【事例】専門家の協力を得て最適な共有解消方法

A様ご兄妹は相続により土地を共有で2分の1ずつ取得しました。お2人とも土地を売却する意向はないものの、活用方法はお兄様がアパートの建築を望む一方、妹様は戸建てを建てたいと意見が分かれたため、共有の解消を希望されていました。

レッツでは、前述の6つのアプローチを検討し、①「共有地分割」をご提案。対象地は整形地ではないため、均等な分割が難しいという課題がある中、測量士とも連携してご兄妹双方が納得できる分筆ラインの検証を重ねるとともに、分筆後の評価額の査定を実施しました。

こうした客観的かつ具体的な査定結果や提案に加え、ご兄妹の間でも協議を進めていただいた結果、合意が成立。分筆後の土地はいずれも5000万円相当と等価が立証され、現在は建物を解体して更地としたうえで、ご兄妹それぞれが各区画を単独で所有。将来は各区画に戸建て、アパートを建築されるご予定です(図表2)。

 

共有不動産の状況はお客様ごとに異なり、課題もさまざまです。本事例のように、必要に応じて専門家の協力を得ながら最適な共有解消の方法を検討していただければと思います。共有不動産に関するお悩みは、レッツにお気軽にご相談ください。

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