賃料下落・空室リスクを考える
投資用不動産を所有するうえで、常についてまわる不安が賃料下落・空室リスクです。新築した場合でも、経年とともに賃料が少しずつ下がっていきます。ここでの対応策として考えられるのが修繕工事です。図表2をご覧ください。新築時点から経年劣化した部分を定期的なメンテナンスや大規模修繕である程度取り戻したとしても、住宅設備機器などの進歩や変動するマーケットからの要請にはなかなか追いつくことはできません。大規模修繕は価値の下落をなるべく抑えるためにおこなうもので、賃料が上がることはほとんどありません。また、空室時の対応として考えられる主なケースを図表3で比較しています。結果として、マンションBは賃料を下げ空室期間を短くすることが利益につながっている一方で、賃料下落を誘引するきっかけとなっていることもおわかりになるでしょう。
このように、投資期間が長期化するほど、経年劣化と市場競争力の低下による事業性の低下が顕在化していきます。この場合には新築時以上の価値向上をはかるバリューアップや資産の組み換えなどの対応策が求められますので、取得価格や利回りに加え、事前の事業収支シミュレーションによる投資計画が成功する不動産投資の重要なポイントとなります。
パートナー選定も慎重に
投資用不動産を建築する際に前項のようなリスクを最小化させるヒントを少しだけ述べさせていただきます。遊休地や築年数の相当経過した不動産をお持ちの方は、様々な不動産会社が有効活用としての建築や建替えを提案してくるのではないでしょうか。一口に不動産会社といっても、設計、施工、管理など、各社の得意分野はそれぞれです。せっかく建築した建物が、早々に間取りが陳腐化してしまったり、設備が見劣りするようでは、早期からリスクを抱えてしまうようなものです。なるべく賃料下落しにくい間取りや設備などの提案や、きちんと賃貸管理もしていただける会社を見極めることが大切です。皆様が得られる利益の最大化=不動産会社の利益の最大化となるような良好な関係性を築くことがでれば、より満足のいく不動産投資ができるでしょう。
私どもレッツには、どの会社がどのようにお客様と向き合っているかという情報も豊富です。個別性の高い不動産ですから、ご提案もケースバイケースとなります。ぜひお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2016年6月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。
三井不動産リアルティ株式会社 コンサルティング営業本部
齋藤 裕介