借地事業について
地事業の最大の特徴は、土地オーナーが新たな投資を実施しないため、リスクを取らず、かつ安定的な事業となる点です。また、現状として更地や空き家となってしまっている場合と比べれば、固定資産税や相続税上の節税メリットも享受できます。一方でデメリットとしては、リスクが小さい半面収益性が低くなります。また、土地を第三者に貸してしまうので、その貸している期間は土地オーナーとしてほかの用途への転用ができません。このような点からも、将来的にほかの活用方法への転用を見込まれている場合には、確実に定期借地契約にしておかなければなりません。
次に定期借地事業の具体的な活用策についてご説明します。50年以上の一般定期借地事業であれば老人ホームであったり、最近では定期借地権付分譲マンションといった活用事例も出てきており、定期借地権の普及により様々な用途における借地事業が展開されつつあります。
また、事業用定期借地の活用事例としては、駅前・ロードサイド立地におけるコンビニエンスストアやスーパーなどが一般的です。これらの商業系の業態では、好立地や出店希望エリアであれば、テナントが自ら建物投資をしてでも出店をするケースもありますので、こうした借地契約を活用しての事業となります。
土地オーナーご自身が投資をする場合と、借地権での活用をする場合とのいずれにしても、当該土地がどのような活用策に向いているのかが重要ですので、土地活用を検討される場合には、まずはご所有地の可能性を客観的に把握しておく必要があります。
借地事業の収入について
最後に借地事業の収入面についてですが、契約開始時の収入(一時金)と日々の地代収入の2つがあります。特に契約開始時の収入としては、保証金方式、 権利金方式、 前払地代方式、の3種類があり、図2のようにそれぞれに税務的な取り扱いが異なるため借地人との交渉時には注意が必要です。
借地事業は収益性が低くなるものの、制度内容を十分理解し適正な手続きで事業を開始すれば、リスクも少なく中長期的に一定の収入が得られる安定的な事業となります。こうした借地事業も含めて土地活用策を検討をされたい場合にはお気軽にレッツまでご相談ください。
※本記事は2016年10月号に掲載されたもので、2021年12月時点の法令等に則って改訂しています。
三井ホーム株式会社 コンサルティング事業部
島﨑 康弘