住まいと暮らしのケアデザイン住まいと暮らしのケアデザイン

住まいと暮らし まとめ住まいと暮らし まとめ

レッツプラザ2020年1月号/執筆者:渡邉 幸子

住まいは大切な『暮らしの器』です。新しい器を選ぶという決断はとても大きなものです。だからこそ後悔したり、悲しむことがないようわからないことや不安に思うこと、疑問に感じることは遠慮せず、納得するまで繰り返し確認しましょう。
これまでお伝えしてきた住まい探しのステップ
① 希望(ニーズ)の確認
② 高齢期の生活の場の正しい知識をもつ
③ 条件に合った施設の情報収集
④ 相談できる人や場所を活用
⑤ 資金計画を立てる
⑥ 見学や体験入居をおこなう
⑦ 疑問や不明点を確認
⑧ 契約・入居

住まい探しの8つのステップ

前号まではお客様のエピソードとともに“住まい探しの8つのステップ”についてお伝えしてきました。
今回は、有料老人ホーム(以下ホーム)を選択したお客様のその後の暮らしと自分に合った住まいに出会うためのコツについてお伝えします。

陽子さんのホームでの暮らし

住まい探しのエピソードの最初に登場した茶道が趣味の陽子さん。住み替え先のホームで楽しく過ごしていましたが、外出先で転倒骨折してしまい、歩行器が必要になります。入浴や外出にサポートを受けて暮らしていましたが、広い施設内の移動を負担に感じ介護居室に移ることを選択されます。最初はこれまでの暮らしと異なる様子に戸惑った陽子さんですが、同じ建物内で共有の場所も多く、友人とも気軽に会えることで不安は減っていきました。なにより陽子さんが安心したのは、いつもケアスタッフや看護師が近くにいることです。いまも椅子に座ってできる立礼式の茶道を楽しみながら穏やかに過ごしています。「ここ(ホーム)にいるから安心して好きなことができる」と笑顔で教えてくれました。

住まい探しの近道

陽子さんが選んだのは「自立者向けの介護付有料老人ホーム」です。マンションタイプのお部屋やレストラン、茶室を含むホビールームや浴場などホテル住まいのような暮らしができる場所です。将来介護が必要になったときは介護居室でケアスタッフから手厚い介護が受けられます。陽子さんは自分のニーズをきちんと把握したため、「茶道を楽しみたい」「介護の不安解消」の二つのニーズに合う住まいを選択できました。陽子さんのように自分のニーズを明確にすることが望む住まいを見つけるための一番の近道になります。

住まい選びは自分に合わせたステップで

住まい探しの8つのステップはどの項目も重要ですが、得るべき知識や情報の範囲、相談窓口の利用や資金計画など、その内容はお一人おひとり異なります。心身の状況や健康状態、ご家族の有無や資産などの事情に合わせて、特に自分やご家族が心配な項目を念入りにチェックすることでスムーズにステップを進められます。

100%の満足・完璧を求めないこと

住み替え先を決める、この決断をするのは大変難しいのですが、タイミングを外してしまうと自分が望む暮らしができなくなってしまうことがあります。将来のことは誰にもわかりません。100%完璧な場所を探しているうちに心身の状態が変わってしまい「入居要件に合わなくなってしまった」とならないためにも、自分にとって一番重要なニーズが充足しているか、そこでの暮らしがイメージできるかなどを基準に決断することも大切なコツのひとつです。

快適なシニアライフのために

多くの方がいつまでも健康で元気に過ごしたいと考えます。ですが、年齢を重ねていくと心や身体、暮らし方、希望や不安は変容していきます。その変化から目を逸らさずに自分の大切な想いが満ちるような「暮らしの器」を見つけてください。
今回で住まい探しのステップは最終回です。皆さんのシニアライフが充実したものになりますように。

※本記事は2020年1月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

渡邉 幸子
三井不動産株式会社 ケアデザイン室
渡邉 幸子
介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉士、精神保健福祉士。地域包括支援センターの相談員として、一人暮らしや認知症の方の暮らし、介護、権利擁護などの相談に従事後、ケアデザインプラザで介護コンサルタントとして、シニアの暮らしにかかわる幅広い相談に対応している。

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