住まいと暮らしのケアデザイン

高齢期のライフスタイルを自らが決めるために、正しい情報と知識を

※ケアデザインプラザは「ケアデザイン」に名称を変更いたしました。

終活は、この先の人生を充実したものにするために、ご自身のライフスタイルを見つめ直すことでもあります。その一端で有料老人ホームを調べ始めた里美さん(78歳)は、集めた情報の整理がつかず混乱してしまいました。ケアデザインプラザがお手伝いしたエピソードをご紹介します。

住まいについて考えたきっかけ

テレビで老人ホームの特集を見た里美さんは、流行の“終活”をしてみようと有料老人ホームについて調べ始めました。ホームのパンフレットを取り寄せて見学会に参加したり、友人に話を聞いたりと積極的に活動していましたが、調べていくうちにすっかり混乱してしまいました。自分が調べているホームのことが分からなくなった里美さんは、ケアデザインプラザを利用することにしました。

3つの類型に分かれている有料老人ホーム

ケアデザインプラザでは、里美さんがこれまで情報収集や見学した有料老人ホームを類型ごとに整理しました。
ひとくちに有料老人ホームといっても、「①介護付有料老人ホーム(以下、介護付) ②住宅型有料老人ホーム(以下、住宅型) ③健康型有料老人ホーム(※)」の3つに分かれています。今回、里美さんが調べた有料老人ホームは、「介護付と住宅型」だったので、それぞれのホームの基本知識を持っていただくこと、違いを理解していただくことから始めました。

※健康型は介護が必要になると退去するタイプで現在は数も少ない。

介護の受け方が異なる2つの老人ホーム

介護付と住宅型の老人ホームで最も異なる点は介護の受け方になります。介護付は介護保険のサービスのひとつ、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている老人ホームです(この指定を受けていない老人ホームは介護付を名乗ることはできません)。介護が必要になった場合は、24時間ホーム内にいる介護スタッフから介護を受けながら生活を継続することができます。また、看護師も日中を中心に常駐しているため、ある程度の医療ケアはホームで受けられます。
一方、住宅型は原則ホーム内に介護・看護スタッフは常駐していません。そのため、介護が必要になった時は、自宅で過ごすのと同じ様に、自分で地域の訪問介護等の介護サービス事業者を見つけて利用します。この基本知識を理解しておくことで、各ホーム、事業者によって異なる細かいサービス内容や人員体制を整理することができます。(詳細は下表【介護付・住宅型有料老人ホームそれぞれの特徴】を参照)

ケアデザインプラザがサポートして、それぞれの違いを整理

里美さんが集めた情報を確認しながら、運営事業者や居室の広さ、レストラン等共有部の設備、提供されるサービス、費用や介護・医療体制等を一緒に整理してみました。例えば、同じ住宅型でも、Aホームは居室の広さは15㎡と狭く、設備もトイレと洗面台だけで浴室も共同ですが、看護師が24時間常駐し、訪問介護とケアマネジャーの事業所も併設されている要介護の方向けのホームです。一方、Bホームは45㎡の居室にキッチンや浴室が完備されていますが、提供サービスは食事と掃除のみで、介護サービスを受けたい時は自分で探すタイプのお元気な方向けのホームでした。

終活も正しい知識が必要でした

同じ有料老人ホームでも暮らし方が大きく異なることを知った里美さんは、整理した情報を参考にご自分の暮らしの希望を考えてみました。そうすると、「要介護になった時はできるだけスムーズに適切なサービスを受けたい」というニーズが見えてきました。里美さんはすっきりとしたご様子で80歳を目標に自分に合った介護付を探すスケジュールを立てて、意欲的に動いていらっしゃいます。

※本記事は2018年5月号に掲載されたもので、2021年12月時点の法令等に則って改訂しています。

 渡邉 幸子

介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉士、精神保健福祉士。地域包括支援センターの相談員として、一人暮らしや認知症の方の暮らし、介護、権利擁護などの相談に従事後、ケアデザインプラザで介護コンサルタントとして、シニアの暮らしにかかわる幅広い相談に対応している。

三井不動産株式会社 ケアデザイン室

渡邉 幸子

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