老朽化不動産の処方箋【第1回】リファイニング建築

「リファイニング建築」老朽化不動産を、法的にも新築同等に再生

老朽化対策 リファイニング

不動産オーナーを悩ませる建物の老朽化。止まらない競争力の低下と反比例して修繕費は増えるばかり。築年数が古い旧耐震基準の建物の場合は、大規模な改修工事や建て替えまでも視野に入れなければなりません。そこで注目されるのが「リファイニング建築」です。建築的にも法的にも「新築同等」の建物へと再生することができる手法です。

新築同等の法的価値で社会的信用の回復も

また、既存建物の詳細な調査や法的証明などを通じて現行法に適合させるリファイニング建築なら、再度建築確認申請を提出し「検査済証」を取得できるのも大きな特徴です。これは、リファイニング建築という手法が単に建築的な面だけでなく、法的な意味合いにおいても「新築」と同等の建物へ再生できるということを意味しています。

さらに、融資条件のひとつとなる検査済証を取得することで金融機関からまとまった額の長期融資を受けられる可能性も高まります。一方、検査済証を取得していなければ事業融資を受けられないばかりか、いざ売却したいと思っても買い手が融資を受けられないために売却できなくなる、といった不利益も被りかねません。

よく比較対象となるリフォームやリノベーションが一般的に内装や外装、水回りなど住戸設備などの表面的な改修であるのに対して、法的にも再生され、工事の全過程も記録されるリファイニング建築であれば社会的信用の回復も可能になります。そして言うまでもなく、社会的信用は確かな不動産事業に不可欠なものなのです。

不動産事業の視点なくして資産再生の長期的な成功なし

ただし、リファイニング建築によって建物が建築的・法的に新築同様になったとしても、そこに不動産事業という視点がなければ、長期安定的な賃貸経営は望めません。そこでレッツでは、三井不動産グループの総合力を活用することで、老朽化不動産再生後の賃貸事業をトータルにサポートしています。

例えば、予算やスケジュールなど事業全体のコーディネートについてはレッツが担う一方で、グループ会社の三井不動産レジデンシャルリースが、緻密なマーケット調査やその結果に基づいた市場競争力を高める商品企画、適正な賃料設定、さらに竣工後の運営・管理などに対応。リファイニング建築による資産再生後も、長期安定的な賃貸経営をお手伝いします。

現行耐震基準に適合し、事業収益性も大幅に改善

最終的にリファイニング建築を選択されたA様のケースでは、まず、建築費を建替えの約70%に抑えることで総事業費を圧縮。さらに建替えと比べて工期を短縮でき、未収入期間を減らすことができました。併せて、30年の長期融資が可能になり、月々の支払額が低減し、支出の抑制が図られています。

また、リファイニング建築後のマンションは新築物件と大きく変わらない、以前より高い賃料で満室稼働を達成するなど、事業の収入面についても大きな成果を上げました。なお、長期融資によるまとまった額の借入で資産圧縮が図られ、相続対策にもつながっています。

このように収入が増大して支出を抑制でき、利益という観点でも建替えよりメリットが大きくなったリファイニング建築。A様の悩みの種だった老朽化不動産は、現行耐震基準に適合した新築のような美しいマンションに生まれ変わりました。

※本記事は2019年6月号に掲載されたもので、2021年12月時点の法令等に則って改訂しています。

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