老朽化不動産、3つの再生手法
老朽化したマンションの再生策には、大きく分けて、(1)修繕・改修、(2)建替え、(3)売却による資産の組み換えの3つがあります。マンションの規模や築年数、対策の目的などによって、選択する手法が違ってきます。考えられる選択肢をしっかり比較検討したうえで、判断することが重要です。
リファイニング建築®
長所
- 高い事業性能
- 建物規模を維持
- 建物デザインに影響のない耐震補強
- 長期借り入れの実現が可能
検討課題
- 入居者の退去
リノベーション
長所
- 投資額が小さい
- 工事期間が短い
- テナント入居中でも対応が可能
検討課題
- 資金調達
- 築年数によっては耐震補強が必要
建替え
長所
- マーケットに適応した
商品計画が可能 - 借入による節税対策効果
検討課題
- 資金調達
- 工事期間が長期
- 入居者の退去
等価交換による建替え
長所
- マーケットに適応した
商品計画が可能 - 投資が必要ない
- 開発リスクはディベロッパーが負担
検討課題
- 工事期間が長期
- 土地が一般共有となる
- 入居者の退去
資産の組み換え
長所
- より収益性の高い資産への組み換え
- 賃貸事業の中断期間がなく、
新たな事業が開始
検討課題
- 売却資金の運用先
- 譲渡益に対する課税
1. 修繕・改修 リファイニング
リファイニング建築とは建築家青木茂により提唱された再生建築の手法で、リフォームやリノベーションと異なり、構造躯体の軽量化や補強によって耐震性能を現行の耐震レベルに向上させるとともに、既存躯体の約80%を再利用しながら、建替えの約70%程度のコストで大胆な意匠の転換や用途変更、設備一新をおこなうことで、建物の長寿命化を図る再生手法です。
また、既存建物の詳細な調査・法的証明により、既存建物を現行法規に適合させ、新たに建築確認申請書を提出することで、竣工後には完了検査済証の交付を受けることができます。つまり新築と同等の建物へと再生することができる手法なのです。
1. 修繕・改修 リノベーション
賃貸資産としての価値を保っていくためには、補修や修繕による性能の回復に加えて、現在の居住水準・生活水準に見合うような性能にグレードアップし、住みよい物件にしていくことが重要になります。
そのためには、もとの機能や性能以上に新たな価値を付加し、市場ニーズに対応した商品へと再生させる「リノベーション」の手法を用います。
リノベーションを行うメリットは、入居者が退去をするタイミングに合わせて行うことにより、入居者の立ち退きが発生せず、建替えと比較すると費用が少なくて済むので投資効率が相対的に良い点です。また、工事期間が短いため賃料未収の期間が短くてすむこともあげられます。リノベーションの本来の目的は空室対策や資産価値の維持向上ですが、工事の内容によっては賃料アップも狙えます。
ただし、1981年(昭和56年)以前に建てられた旧耐震物件については、多くの場合耐震補強が必要となります。補強方法によっては専有部が狭くなったり、入居者の一時退去の必要がある点がデメリットといえます。
旧耐震物件で空室が目立つものについては、総合的に判断すると、建替えを検討した方がよい場合もあります。
2. 建替え 建替え
老朽化したマンションを新たに建替えれば、市場ニーズに対応することができ、賃料の大幅な改善やキャッシュフローの改善、相続対策上の課題に応えることも可能です。サブリース(建物ごと管理会社へ転貸)を採用することにより、運営管理の手間や空室リスクの軽減を図ることもできます。
しかし、投資額はリノベーションよりもさらに大きくなり、余剰資金がなければ借入金が必要となります。また、工事期間が他の選択肢と比較して長期になり、工事期間中は収益が上げられません。長期借入による金利の上昇など外部要因を受けやすいなどのデメリットもあります。
2. 建替え 等価交換による建替え
建替えでは投資のための資金(借入金)が必要となりますが、あらたに多額の借入を起こしたくない場合には等価交換方式を利用した建替えも選択肢の一つとなります。
等価交換方式とは、オーナー様から所有地を出資いただき、その土地にディベロッパーの出資によってマンションを建設し、オーナー様に出資いただいた土地の評価額に相当するマンション住戸をお戻しする事業です。
立地や規模によって事業選択肢となり得ます。
3. 売却による資産の組み換え 売却
お客様ご自身で建替えや修繕等の手間が省け、また売却資金でより収益性の高い資産を取得することで、他の選択肢よりも工事期間中などの無収入期間が短くてすむこともメリットの1つです。