相続対策から5年― 再び増加した税負担を不動産再投資で圧縮

相続対策

レッツプラザ2017年10月号/執筆者:清水朝一

Step.3〈解決〉 不動産への再投資で相続税の悩みを解消

このように賃貸事業による相続対策は、自用地が貸家建付地となることによる土地評価減や、建物投資に伴う評価減等により相続税評価を大幅に圧縮できる一方で、借入返済の進捗や賃貸収益の累積的蓄積等により、相続対策による節税効果は中長期的には減殺されていきます。

手元資金のみでマンションを建てたA様の場合、借入金利等の負担もなく、年金収入のみで日々の生活費等にも特に不足がなかったことから、賃料収入のほとんどが金融資産として蓄積されてしまったため、再び相続税の心配をしなければならなくなってしまったのです。

これに対し、レッツは賃料収入で積み上がった金融資産を活用し、ご自宅と同じS区内の区分所有マンション(8,000万円)へ再投資するプランを提案しました。こうしたマンションの多くは、市場取引額より相続税評価額(この物件を賃貸した場合は1,900万円)が低いため、現預金のまま相続するより大幅な評価圧縮が可能になるからです。

しかしもちろん、相続対策として建てられた賃貸マンションや購入した賃貸用の区分所有マンションから、今後もA様には賃料収入が入ってきます。それに、ご所有地の地価もさらに上昇していく可能性もあります。

そこでA様は取得資金の半分を金融機関より借り入れすることで一部資金を手元に残しつつ、さらなる追加マンション取得も検討中です。

このように、時間と共に変動していく財産の状況に応じて、今後も定期的に相続対策を見直していくことが重要です。

環境変化や資産の状態に応じて、定期的な「相続対策の定期検診」を

相続対策として賃貸住宅などを建てた後で、地価上昇と返済に伴う債務の減少、さらに、賃料収入のキャッシュが積み上がっていくことによって、相続税の課税評価額(資産)と相続税額が再度上昇し、お困りになっている土地オーナーが増えており、私どもでもよくご相談を受けます。

こうした事態への対策としては、今回の事例でご紹介したような積み上がった現金を再び不動産などに投資するといった方法のほかにも、生前贈与や生命保険契約、あるいは所有型法人を設立して財産を移管する法人化など、様々な対処法があります。オーナー様のご要望や資産の状態に応じて最適な対策を講じていくためにも、私どもでは概ね3~5年ごとを目安に、相続対策の定期検診を実施されることをお勧めしています。

※本記事は2017年10月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

清水 朝一

1993年入社。弁理士、AFP、公認不動産コンサルティングマスター、福祉住環境コーディネーター

三井不動産(株)レッツ資産活用部

清水 朝一shimizu

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