老朽化不動産の処方箋老朽化不動産の処方箋

【第1回】 リファイニング建築【第1回】 リファイニング建築

レッツプラザ2019年6月号

収益性と資産価値を回復させるリファイニング建築による再生収益性と資産価値を回復させるリファイニング建築による再生

現行耐震基準不適合による稼働率低下で収益性が悪化

A様は都内N区内の駅徒歩5分の立地に全28戸の賃貸マンションをご所有でした。竣工からすでに40年ほど経過しており、建物は4階建にもかかわらずエレベーターがありませんでした。さらに、耐震助成金を受けて耐震診断を受けたところ、結果は不適合。この事実は入居者募集時の重要説明事項であることから空室が長期化し、加えて、老朽化に伴う設備機器のメンテナンス費用も増大していたことがA様のお悩みの種でした。

その後、空室率はついに50%を超え、賃貸事業の収益性が悪化の一途を辿るなかで、数年後に迫っていたのは通算3回目となる大規模修繕。「この地で賃貸事業を続けていきたいけれど、抜本的な対策を講じないまま、大規模修繕だけでマンションの市場競争力を回復できるのか?」。そんな不安を拭えなかったA様は、マンションの建替えや売却、さらには将来の相続対策なども視野に、レッツにご相談を寄せられました。

オーナー様に負担となった建替えのための費用と時間

レッツで問題点を洗い出したところ、現行の耐震基準不適合に加えて、外観や共用部の意匠、間取り、設備の仕様と昨今の入居者ニーズとの不一致が大きな原因となり、空室が長期化していることが判明。特に、長期的な視点でより安定的な賃貸事業を実現するためには、現行耐震基準への適合とエレベーターの設置が不可欠という結論に達しました。

こうした調査・分析結果から、まず考えられる対策は「建替え」という選択肢です。シンプルに現行の耐震基準に合わせてエレベーターのある建物を新築すればいい、ということになります。しかし、すでにご高齢のA様にとって建替えは多大な資金が必要で工事期間が長くなること、さらに調査の結果、建替えることになった場合、現行法規のもとでは容積率の変更があったため、既存の建物規模を維持できないことがわかり、建替え以外の手法が検討されることになりました。

より低コスト・短工期で建物規模の維持も可能

検討の結果、レッツがご提案したのは、A様にとっての建替えのマイナス点を回避できる「リファイニング建築」による資産再生プランです。新たな建築再生手法として注目を集めるリファイニング建築は、建築家青木茂氏により提唱された再生事業の手法で、リフォームやリノベーションと異なり建物の軽量化や補強などによって、現行の新耐震基準まで耐震性を向上させることができます。

その上で、内外観とも新築と同等以上の仕上がりで、既存の構造躯体を活かすことから建築コストは新築の70%程度、工期も大幅に短縮できるほか、新築よりも廃材が少なく環境負荷を軽減できることもリファイニング建築ならではのメリットです。

さらに、建替えると現行の都市計画法の規定によって既存建物の容積率を維持できないケースでも、リファイニング建築であれば行政協議によっては、従来の容積率を確保できます。これは建物規模=事業規模となる賃貸事業にとって極めて大きな優位性と言えるでしょう。

ページの先頭へ