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第12回 不動産活用は投資目線で(2)第12回 不動産活用は投資目線で(2)

レッツプラザ2019年6月号/執筆者:神宮 保彦

人材に適材適所という言葉があるように、不動産にも最適用途という言葉があります。誤った活用方法は利益にならないだけでなく、 収支がマイナスになり、最悪の場合、 資産を失うことにもなりかねません。

最適用途とは

土地(不動産)の最適用途とは、 その土地にどんな建物を建て、 どんな相手に貸したら最も多く利益が出るのかということです。 しかもある程度の将来予測のもとに「安定的」である必要があります。 その結果としてどの程度の利益がでるかは、 支出と収入のバランスによるため、 多少賃料が増えるからといって建築コストや管理コストが大幅に増えてしまえば利益が減り、 最適な活用ではなくなってしまいます。

例えば駅前の商業地などで、 建物の貸床面積1坪あたりの賃料が高ければ、店舗やオフィス、 場合によってはホテルといった多様な用途での活用が検討できるかもしれません。 また、 そのような用途で多くの収入が見込めれば、 鉄筋コンクリート建築で容積率の制限内目一杯に堅牢な建物を建てることが最適な活用に繋がる可能性があります。

それとは反対に、 駅から少し離れた立地で、 住宅用途以外の需要が見込めず、 賃料もあまり高くないような立地であれば、 建築コストをかけすぎてしまうことが事業としての効率を悪くしてしまうこともあるでしょう。

さらに、 もっと立地条件が悪くなり、 賃料相場が低い立地であれば、 より建築費の安い構造の建物にしないと収支が見合わないかもしれませんし、 賃料条件が悪くなるにつれて「果たして建物を建てる意味があるのか・・」というような収支計画になってしまうでしょう。

不動産活用は長期投資

賃貸マンションやテナントビルなど、 建物を一度建ててしまうと、 多額の建築費もかかっていますし、 テナントも簡単に立ち退いてくれるわけではないので、 おいそれと壊すわけにはいきません。 土地に建物を建てて活用する場合10年20年30年と長期の事業になることを覚悟する必要があります。

一方、 事業を取り巻く環境は次第に変化していきます。 収入やコストも変わる可能性があります。 賃料は建物の経過年数に応じて下落するのが普通ですし、 周辺に競合物件ができて需給バランスが変化したり、 そのエリアの人口動態などによっても変動します。 また、 建築資金を借入れで賄う場合、 銀行からの借入れ金利も変動する可能性があります。 ちなみに今から30年程前には都市銀行の住宅ローン変動金利が7%以上だったと記憶しています。 これらの想定されるリスクに対して対応できる収支計画になっているかどうかをしっかり考える必要があります。 当初からギリギリの利益で成り立っている事業では、 これらの変化に対応することができずに、 早晩破綻してしまう可能性が高いのです。

不動産活用は事業、オーナーは事業主

土地活用を勧める企業は、 有効活用を提案する際に、 建物プラン等の他に「賃貸事業収支計画」を作成してオーナーの皆様に賃貸事業について説明すると思います。 まともな企業であれば長期の収支計画も作成していると思います。

この「賃貸事業収支計画」をしっかりチェックしてください。 賃料は適正であり、 将来の変動や空室リスクを十分に見込んでいるものか? 修繕計画のなかで可能性のある費用を十分に見込んでいるか? 将来の金利変動リスクを十分に見込んでいる計画か? その上で投資額に見合うキャッシュフローが生まれるか? これらについて目を皿のようにして確認してください。

しかし現実には、 これらを十分検討し、 計画を理解したうえで事業を始めるオーナー様はとても少ないと思います。 大概は「営業マンが熱心だから」「信用できそうな会社だから」「一括借り上げ方式で賃料が保証されているから(残念ながら一定期間ごとに保証賃料の見直しがあります)」等の理由で事業を始めているというのが実情ではないでしょうか?

ここで考えてみてください。 事業が上手くいかなくなった責任は誰が取ってくれるのでしょうか? 借入金は誰が返済するのでしょうか? 運営会社は運営するだけで賃貸事業について責任を負ってくれるわけではないのです。

不動産活用とは土地や建物が勝手に働いてくれるわけではなく、 オーナー様が自ら責任をもっておこなう「不動産賃貸事業」だということ、 オーナー様は経営者であるということを覚悟しておこなう必要があるということを忘れないでください。

ここまで厳しいことを言うと「うーむ。それでは素人には難しくて判断できない」と思われる方も少なくないのではないでしょうか? そんな時こそ「セカンドオピニオン」が役に立つのです。 他社が提案した建築プランや収支計画などをチェックし、 問題点を指摘してくれるパートナーがいれば、 事業に失敗して「こんなはずではなかったのに・・」となる可能性は低くなるでしょう。
「自分にはそんなビジネスパートナーなんていない」と思われている方。
ぜひ一度レッツにお問合せください。 不動産、建築、賃貸経営など様々なプロフェッショナルがきっとオーナー様の力になってくれるでしょう。

※本記事は2019年6月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

神宮 保彦
三井不動産リアルティ株式会社
関西支店 ソリューション営業部長 神宮 保彦

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