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第11回 不動産活用は投資目線で第11回 不動産活用は投資目線で

レッツプラザ2019年1月号/執筆者:神宮 保彦

不動産投資と一言で言いますが、投資の仕方は様々です。まず思い浮かぶのは「賃貸用物件」を購入することですね、しかしながら広い意味で言えば「不動産に稼がせる」こと全般が不動投資にあたります。今回は、不動産を活用する場合に必要な考え方をご紹介したいと思います。

「Net利回り」 とは?

例えば、土地を駐車場として貸す、土地にアパートなどを建てて賃料を得るなど、リターンとしての収入を得るために不動産という資本を利用すること全般が「不動産投資」と考えられ、投資の考え方を理解していないと利益どころか損をしてしまう可能性もあります。そこで指標となる考え方のひとつが投資の基本である「Net利回り」という考え方です(算式1参照)。

ここで、ひとつ考えていただきたいことがあります。「所有している土地を駐車場として貸した場合の利回りは?」どう考えるべきなのでしょうか? お金をかけていないから∞(無限大)%でしょうか? そうではありません。「投下資本」とは金銭だけではなく土地などの資産も含まれるのです。仮に駐車場にしている土地の時価が5,000万円だとすれば、5,000万円の資本を投下していると考えてみてください。そこを一台あたり1万円/月で5台分の駐車場として貸したとして、固定資産税含め年間30万円の保有・管理コストがかかったとすれば、Net利回り0.6%の投資ということになります(算式2参照)。

この考え方は土地を有効活用する場合にもあてはまります。
「所有している時価6,000万円の土地に4,000万円の建築費をかけてアパートを建てました。年間の賃貸収入は600万円、保有税と管理コストで年間60万円かかります」。この場合の投資利回りは5.4%となります(算式3参照)。

駐車場の場合は、追加の建物投資もありませんし、遊ばせておくよりは保有税の足しになれば良いという考え方もあるかと思いますが、建物を建築するなど高額な追加投資をする場合には、このように投資についての基本的な考え方を頭にいれておく必要があります。

一部の都市部を除けば不動産投資に期待される利回りは5%程度は欲しいところです。なぜならば不動産投資には手間と修繕等のコストがかかり、現金化に時間がかかるという特性があるため金融商品よりも大きなリターンが期待されるからです。逆に税制優遇等のメリットもありますが、ここでは触れないことにします。

私は出張で新幹線を利用するときに車窓からの眺めを楽しむことが多いのですが、田園風景の真ん中に立派なマンションが建っているのを見かけて少し心配になります。さほど高額な賃料が期待できないところに過大な建物投資をしているからに他なりません。

坪あたり賃料4,000円の場所で、時価4,000万円(坪単価20万円×200坪)の土地に、建築費2億7,000万円(建築坪単価90万円×300坪)かけて3階建のマンションを建てるような不動産投資。管理コストに年間220万円かかるとすると、この場合の投資利回りは3.9%(算式4参照)となり、これは都心の一等地並みの期待利回りです。 恐らく建築費は借入れをして金利がかかっているでしょうし、修繕のたびに出費がかさむでしょうから実質的なリターンはもっと少なくなるでしょう。

相続対策や遊休地活用というような名目で、「家賃保証」という安心材料を殺し文句にして熱心に営業されたのでしょうね。

しかしながら、仮にこの物件を売却するとなれば10%以上の利回りが期待されると考えられるため、売れる値段は1,220万円÷10%=1億2,200万円以下となってしまいます。

建物建築のために銀行から借りたお金は返済できるのでしょうか…。

ご自身の資産を有効に活用してリターンを得たいと考えるのは当然のことです。しかしながら、間違った活用をしてしまえば、資産を増やすどころか失うことにもつながりかねません。そうなることを防ぐにはどうすれば良いのか?続きは次回に。

※本記事は2019年1月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

神宮 保彦
三井不動産リアルティ株式会社
関西支店 ソリューション営業部長 神宮 保彦

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