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高齢のお父様の相続対策に「家族信託」を活用高齢のお父様の相続対策に「家族信託」を活用

レッツプラザ2017年1月号/執筆者:岡本良保

Step.4〈解決〉
相続税負担を大幅に低減して、相続で分割しやすい資産構成に

ご家族立ち会いのもと、契約内容の説明・確認の後、各自が押印して信託契約を締結しました。

その後は、受託者であるご次男様が契約者となって、ご自宅の売却と区分所有マンション5戸の購入を進め、予定より早く資産の組み換え対策が完了しました。

それ以降、ご次男様は受託者として責任を持って財産を管理し、一年に一回帳簿内容を受益者に報告し、また信託計算書を作成して、税務署へ提出する必要があります。さらには、専用の銀行口座を作り家賃収入などを管理することになりました。

資産の組み換えを実施した結果、ご自宅部分の相続税評価額は当初の約1億5,000万円から約6,000万円へ大幅に低減することができました。また、複数の区分所有マンションという資産構成で相続財産は分割しやすくなり、後々の相続も円滑に進められるかたちになりました。

解決に向けてのポイント「家族信託の活用」
解決に向けてのポイント「家族信託の活用」
「資産の組み換え」と併せてお父様の体調を考慮し、万一お父様の判断能力に問題が生じた場合にも、お父様の財産を受託者が単独で財産の管理・売買などを実行できる「家族信託」をご提案。家族信託は、成年後見制度や遺言の代替策として近年、注目を集める財産管理手法です。

お父様を「委託者」兼「受益者」、ご次男様を財産の管理・売却・購入の権限を持つ「受託者」として信託契約を締結します。またその時ご長男様を、お父様と同様にご次男様の管理状況をチェックし、承諾する権限を持つ「受益者代理人」とします。そうすることで、お父様が判断能力を失くした場合でも、ご長男が代理人として機能し、ご兄弟の合意のもとでスムーズに資産の組み換えを進めることができるようになります。

さらに信託契約を締結したら、ご自宅不動産へ信託設定登記をして、受託者へ不動産の名義を移転します。これでそれ以降は受託者の権限で不動産売買が可能となります。
大切なのはお客様の主体性と家族の信頼関係。
専門家としてプラスアルファのご提案を目指しました。

ご相談から約1年3か月ですべての手続きを完了した本プロジェクトを終始円滑に進められたのは、何よりもプロジェクトを主体的に担われたご次男様を中心に、関係者の方全員に当事者として関与していただき、全員の理解とご家族の信頼関係があったからにほかなりません。また、当時お父様の体調は必ずしも万全とは言えない状況でしたが、早めの対策を講じ家族信託を活用したことで、その後の不動産売買もスムーズに進められたことが、プロジェクト成功のカギだったと思います。

実は、このプロジェクトが完了した直後にお父様が他界されたのですが、「家族全員が納得したかたちで相続を迎えられた」とお話しいただき、担当者として感無量でした。今後もプラスアルファのご提案で、お客様のご要望にお応えしていきたいと思います。

※本記事は2017年1月号に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

岡本 良保
三井不動産リアルティ(株)
コンサルティング営業本部
岡本 良保
公認不動産コンサルティングマスター
一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
家族信託コーディネーター

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