基礎知識

相続税の課税対象になる財産、非課税の財産

相続税の課税対象になる財産、非課税の財産

相続税額を計算するには、様々な財産、債務、費用などを割り出して「相続税の課税価格」を求めなければなりません。この課税価格から基礎控除額を引いたものが、相続税の課税対象となります。ここでは「相続税の課税価格」を求めるまでの流れを説明します。

 相続税額の計算にあたっては、まず、以下の式により課税価格を求めることになります。

課税価格=遺産の総額+みなし相続財産-非課税財産+相続時精算課税に係る贈与財産-債務・葬式費用+被相続人からの贈与財産

 遺産の総額には、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、建物、貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが含まれます。

 このとき、不動産や株式など現金以外の財産は、それぞれ定められた評価方法で価額を計算します。

 例えば、土地の価額(相続税評価額)は、都市部の場合には相続税路線価に土地の面積を掛け、形状や位置に応じた調整をすることによって求めます。路線価が定められていない地域については、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算します。

 また、貸地は自用地の評価額に地域ごとに決められた借地権割合を控除した底地割合を掛けて求めます。なお、相続した宅地が、被相続人または生計を一にしていた親族の居住用や事業用に供していた場合には、一定面積までの部分は、通常の評価額から一定割合を減額する特例(小規模宅地等の特例)があります。

 建物の価額は、固定資産税評価額と同じです。

 みなし相続財産とは、被相続人の死亡による生命保険金や死亡退職金等です。

 非課税財産の主なものは次の通りです。

○ 墓所、仏壇、祭具など

○ 宗教、慈善事業、学術その他公益を目的とする事業に供するもの

○ 心身障害者共済制度にもとづく給付金

○ 生命保険金等については、法定相続人1人当たり500万円(このときの法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数になります)

○ 退職手当金については、法定相続人1人当たり500万円(上記に同じ)

○ 相続税の申告期限までに国などに寄付した財産

 相続時精算課税を選択して生前贈与を受けていた場合は、それまでの贈与財産も相続財産に合算することになります。このときに相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の評価額となります。

 債務や葬式費用など、以下のものは課税価格から差し引くことができます。

○ 一般債務

○ 公租公課

○ 葬式に関して相続人が負担した費用(香典返し・墓所購入費等・初七日や法事のためにかかった費用は含みません)

 最後に、被相続人が亡くなる3年以内に被相続人から相続人に贈与された贈与財産を足して、各人の課税価格を求めます。

【参考】
●相続税計算方法の大きな流れを理解する
https://lets.mitsuifudosan.co.jp/column/chishiki/chishiki20

●相続税路線価とは?
https://lets.mitsuifudosan.co.jp/column/chishiki/chishiki12

●知っておきたい、7つの「相続税の税額控除」
https://lets.mitsuifudosan.co.jp/column/chishiki/chishiki22

※本記事は2012年2月に掲載されたもので、その時点の法令等に則って書かれています。

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